不安障害ふあんしょうがい
最終編集日:2026/4/20
概要
過度な不安を感じるあまり社会生活に支障をきたす状態です。
不安を感じる対象はさまざまで、不安でたまらなくなると、勉強や仕事が手につかなくなります。この病気には全般性不安障害、社交不安障害、パニック障害、恐怖症などが含まれ、症状を悪化させないためにも早い段階で治療を始めることが大切です。
原因
原因はまだ明らかになっていませんが、単一の要因ではなく、元々の性格傾向や遺伝的な要因、ストレス、家族歴や脳の反応性など、複数の要素が重なって発症すると考えられています。
症状
精神的な症状には、以下のようなものがあります。
・制御できない不安がある
・疲れやすい
・集中力がない
・いつも緊張している
・小さなことが気になる
・寝つきが悪い
・人と会うのが億劫(おっくう)になる
・イライラして怒りっぽくなる
身体的な症状では、動悸、頭痛、めまい、ふらつき、筋肉の緊張やしびれ、便秘、下痢、頻尿などがあります。
また生活面でも、外出ができない、1つの行動に時間がかかる、人前で発言ができないなど、社会生活を送るうえでの支障をきたします。
さらに不安障害を細かく分けると、不安を感じる対象が特定のものに限られている「恐怖症」、不安を感じる対象が特定されておらず、さまざまな事柄や状況に不安を感じる「全般性不安障害」、動悸や息苦しさ、発汗、ふるえ、吐き気、めまいなど、パニック発作を繰り返す「パニック障害」、カフェインやアルコール、薬物などの摂取で不安が生じる「物質誘発性不安障害」などがあります。
検査・診断
不安を感じる状況や症状の内容・持続期間・生活への影響を総合的に評価し、最終的にはICD(国際疾病分類)やDSM-5などの診断基準に基づいて判定されます。不安障害の種類によって診断基準は異なります。たとえば、症状が6カ月以上続いている、身体的、あるいは精神的な症状が3つ以上当てはまるといった場合は、「全般性不安障害」と診断されます。
また、原因となるほかの病気がないかを確認するため、血液検査、脳波検査、心電図、甲状腺機能検査などを行うこともあります。
治療
治療方法は、大きく薬物療法(薬による治療)と精神療法に分けられます。
●薬物療法
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの抗うつ薬が第一選択薬として用いられます。
一方、抗不安薬(ベンゾジアゼピン)は即効性がありますが、眠気やふらつき、倦怠感、記憶力や集中力の低下などの副作用があります。また、長期使用による依存性のリスクもあるため、医師の指示に従って服用することが重要です。
●精神療法
認知行動療法などで不安をコントロールしていきます。認知とは、ものの受け取り方や考え方という意味です。人はストレスを感じると物事を悲観的に考えがちになって、問題を解決できないこころの状態に追い込んでしまいます。そこで、認知行動療法を用いて考え方のバランスをとり、ストレスに上手に対応できるこころの状態をつくっていきます。
いずれにしても、不安障害の治療は完全に不安をなくすというわけではなく、生活に支障をきたしている症状を緩和して、日常生活を送れるようにすることを目標とします。
セルフケア
療養中
不安障害は、症状が弱くなったり強くなったりを繰り返す病気です。ストレスによって症状が悪化しやすくなるので、ストレスはため込まず、上手にコントロールしていくことが大切です。
また、不安を紛らわすためにアルコール使用障害(アルコール依存症)になる例もあります。つらくなったら主治医に相談するなど、ため込まずに、あせらず気長に治療を続けましょう。
監修
和クリニック
前田佳宏