摂食障害
せっしょくしょうがい

最終編集日:2023/1/13

概要

拒食・過食など食行動に関する異常な行動・習慣があり、からだや精神に影響を及ぼす病気を摂食障害と呼びます。10~30代の女性に好発しますが、高齢者や男性にも起こり得ます。また必ずしもやせることへの願望を伴わないケースがあることもわかってきました。

拒食・過食のほかに、土や紙、髪の毛など、通常は口にしないものを食べてしまう「異食症」、食べたものの吐き戻しをくり返す「反芻症」なども摂食障害に含まれます。ここでは拒食・過食を中心に説明します。

原因

この病態の中心には、神経性やせ症(AN・拒食症)と呼ばれるものがあると考えられています。やせることへの強い願望、体型や体重への強いこだわりがあるために、拒食、拒食と過食を交互にくり返すなどの行動がみられます。しかし、やせることへの願望を伴わないケースがあることもわかってきました。

なぜこのような思考に陥るのか、原因は不明です。近年、遺伝的な要因の関与や、低栄養による脳の変化から認知機能障害が起こり、偏った思考を強化するという悪循環の存在が指摘されています。

症状

食事をとらない、量を制限する、食欲がない、大量に食べる、食べたものをわざと嘔吐する、下剤を頻繁に使う、やせ薬を使うなど、食事・体形・体重に関する異常な行動が継続します。その結果、やせ、倦怠感、無月経、寒がり、冷え性、むくみなどのからだの症状が現れます。やせすぎを指摘されても認めず、病気であるという認識はありません。常に体形や体重への不安・不満を抱えています。抑うつ症状や気分の変動を伴う場合もあります。

検査・診断

食習慣、食事制限の有無、自分で嘔吐を促すか、下剤を用いるかなど、くわしく問診します。家族や友人などからも聴取します。やせ願望の有無、体形の認識(やせていると思うかどうか)、体重へのこだわりなど、精神状態を探ります。

同時に、やせの状態をチェックします。BMIが17.5未満なら、病的なやせと判断します。低栄養による障害の様子を調べることも大切です。月経周期、歯の様子(嘔吐の影響の有無)、血液検査(貧血、低血糖、電解質異常、肝機能障害、甲状腺機能障害などの有無)、心電図(不整脈の有無)など、必要に応じて検査が進められます。

「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル」「EAT-26日本語版」などを用いて診断を行います。統合失調症などのほかの精神疾患や、消化管通過障害(食道アカラシアなど)、消化管腫瘍、甲状腺機能障害などとの鑑別診断、摂食障害に合併しやすい上腸間膜動脈症候群という病気の有無を調べることも重要です。

治療

極端なやせ(標準体重の65%未満)がある場合や、急激な体重減少、電解質異常、精神症状が重度の場合は、入院加療が必要になります。栄養摂取を回復させる栄養療法が行われ、1カ月で最大1kg程度の体重増加を目標に時間をかけて進められます。再栄養による「リフィーディング症候群(電解質異常や体液の貯留などが起こる)」を起こさないようにすることも大切です。からだの状態を改善して少しでも体重を増やすことは、その後につづく精神療法のためにも必要になります。

栄養状態の改善にも増して大切なのが、病気についての理解をもって治療に前向きになれるよう、精神的なサポートを行うことです。

拒食の場合は、認知行動療法や行動制限療法が行われます。抗精神病薬を用いることもあります。

過食の場合では、ガイデッドセルフヘルプ(本人の参加を促し、力を生かす)の概念のもとで認知行動療法や対人関係療法などが行われます。薬物療法として、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬を用います。

セルフケア

療養中

●周囲の対応

摂食障害では、自分の異常行動や、体形・体重に関する考え方のゆがみなどに気づいておらず、やせすぎていても認めようとしないなど、受診をすすめても応じないケースが少なくありません。しかし本人は困りごとを抱えているはずなので(勉強や仕事に集中できないなど)、それを軽減するために受診してみたら、と説得してみましょう。治療の途中で家族療法を行うこともあります。面倒がらずに受けましょう。

摂食障害の治療は時間がかかることが多く、寛解と再燃をくり返すことも珍しくありません。病気をしっかり理解して、悩んだときは摂食障害全国支援センターなどの相談窓口を利用するなどして、サポートを継続してください。

監修

赤坂溜池クリニック 院長

降矢英成

この傷病に関連したQ&A

本サービスに掲載される情報は、医師および医療専門職等の監修の元、制作しております。監修者一覧および元となる情報はこちらからご参照ください。
みんなの家庭の医学 アプリイメージ
アプリでも

みんなの家庭の医学

歩数ゲームやデイリーアドバイス、無料健康相談が利用可能

QRコード

※ご所属先が本サービスを契約いただいている場合のみご利用いただけます。