抜毛症
ばつもうしょう

最終編集日:2023/1/13

概要

抜毛症は、意識的、あるいは無意識に自分の頭髪やまゆ毛などを抜く行為がやめられない病気です。就学児童から成人まで幅広い年代にみられ、男性よりも女性に多いようです。抜毛症は強迫性障害に分類されます。

原因

さまざまな要因が絡み合って起こりますが、精神的なストレスがもっとも大きいとされています。

子どもの抜毛症では何の気なしに抜いた毛髪に興味をもって髪を抜くようになった、あるいはまったく無意識に抜毛を行うなど「癖」のようになってくり返すケースもあります。

症状

頭髪やまゆ毛、まつ毛などを抜くことをやめるべきだと思っていても、抜いてしまいます。1カ所を集中的に抜きつづけるものや、頭髪全体にわたって抜くもの、抜く場所が変わるものなど、抜毛の状況はさまざまです。緊張や不安、イライラが高まったときに抜毛し、抜いたあとにすっきりした感じや解放感を抱いて緊張や不安が軽減される気がして、抜毛をくり返すケースも多くみられます。

また、抜いた毛をかんだり飲み込んだりする(食毛症)こともあります。まれに、毛を飲み込む行為をくり返し、消化されない毛が胃にたまって毛髪胃石という状態になり、治療が必要になることもあります。

多くは抜毛を恥ずかしい行為だと考えて、周囲には隠そうとします。そのため、抜毛が重度になると、人に会えない、外に出たくないなど、生活に支障をきたすようになります。

検査・診断

問診や頭髪、まゆ毛、まつ毛などの状態から診断をつけます。円形脱毛症などの自己免疫疾患による脱毛でないか、あるいは不安障害など、ほかの心の病気ではないかなどの鑑別診断は重要です。

治療

治療は行動療法が中心になります。どのような状況になると抜毛を行うか、どの指でどのように抜くかなど、抜毛の状況をくわしく特定し、例えば自室に1人でいるときに抜いてしまうなら、1人でいる時間を短くして、自室にいるときもドアを開けっぱなしにするなど、抜毛しそうな状況を減らすことを実践します。また、髪を長くして縛る、抜毛の際に使う指にばんそうこうを貼るなど、物理的に髪を抜きにくい状態にする方法が試されることもあります。

抜毛症の治療には時間が必要なため、治療中に引きこもりがちにならないように、ウイッグや帽子を使ってできるだけ人のなかに出て、ふだんどおりの生活を送るようにします。

抜毛症では、家族や親しい友人、美容師など周囲の人が気づいて受診を促すケースが少なくありません。患者さんも周囲の人も、抜毛症は意志だけでは治しにくいのを理解することが必要です。そして治療には周囲の理解・見守りが不可欠です。

セルフケア

病後

完全に治すことはむずかしいと考えられています。治まっていたものが何かのきっかけで再発したり、症状の強弱の変化はあるものの、何十年も抜毛がつづくケースもあります。

監修

赤坂溜池クリニック 院長

降矢英成

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