自臭症じしゅうしょう
最終編集日:2023/1/11
概要
自臭症は、原因となる病気がない、あるいは周囲が気になるにおいがないにもかかわらず「自分のからだから、人を不快にさせるにおいが出ているのではないか、そのにおいのために避けられているのではないか」と思い込む、対人恐怖の一種に分類されています。歯科領域でも、口腔内に原因となる病気(むし歯や歯周病など)がないのに口臭を気にする「口臭恐怖」として受診するケースも少なくありません。自臭症は自己臭恐怖症、自己臭妄想症とも呼ばれます。
好発年齢は20歳以下の思春期で、背景のひとつとして、無臭をよしとする清潔意識の高まった社会環境があるのではないかと考えられています。
原因
口臭や汗のにおいなど、自分のにおいは気になるものです。とくに青年期、思春期には神経質になる人が少なくありません。例えば人ににおいを指摘された、人のにおいが強く感じられたときに自分はどうなのか気になった、などのきっかけがあって、発症することが多いようです。
症状
自分のからだからにおいがすることを、確信的に訴えます。実際ににおいがするかどうかは関係なく、また周囲が否定してもその考えは変わりません。「話している相手が顔をそむけたのは口臭がするから」「営業の仕事がうまくいかないのは自分の体臭が強いから」などの比較的わかりやすい訴えもあれば「対向車が左折したのは自分がにおうから」など、通常では考えにくい訴えもあります。
口臭、わきが、頭のにおい、汗のにおい、便やおならのにおい、おりもののにおいなど、訴えるにおいの種類はさまざまで、なかにはにおいは特定できないけれどにおう、自分ではにおわないけれど周囲にはにおっている、と訴えるケースもあります。
検査・診断
患者さんの訴えを聞き、診断をつけます。
うつや統合失調症を併発するケースもあるため、気分障害や統合失調症などの精神科領域の症状評価尺度を用いて併発病の有無を調べる場合もあります。
治療
自分がにおうという考えや、においのために人を避けるなどの行為が不合理なものであることを認識し、行動を徐々に改められるように、カウンセリングや認知行動療法を根気よくつづけます。不安が強い、気分が落ち込むなどの症状があれば、抗不安薬や抗うつ薬などを用いることもあります。
セルフケア
療養中
●受診の目安
においに関する悩みは人に相談しにくいものです。口臭が気になるなら歯科で口臭検査を受けて確認しましょう。体臭が気になるなら、体臭を調べる市販の検査キットなどを用いて実際ににおいがするのかどうかを調べてみましょう。
問題ないとわかっても、気になって会社や学校に行きづらい、人前に出たくないなどの気持ちが強いようなら、メンタルクリニックや心療内科を受診しましょう。
監修
赤坂溜池クリニック 院長
降矢英成
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