心身症

しんしんしょう

最終編集日:2023/6/30

概要

心身症は、発症や症状の悪化や軽快に、心理的・社会的な因子が大きくかかわる病態を指します。検査などで症状をひきおこす構造的な異常が見つかるものを「器質的疾患」、構造的な異常が見つからないのに働き(機能)に問題があるために症状が現れるものを「機能的疾患」と呼びますが、心身症では器質的、機能的のどちらも起こり得ます。

「身体症状症および関連症群(かつては『身体表現性障害』と呼ばれた)」に分類され「身体症状症」と呼ばれることもあります。成人での推定有病率は、約5~7%とする報告もあり、女性のほうが有病率が高いとされています。

原因

発症の背後には、心理的・社会的なストレスが隠れています。なぜ心身症を発症するのか、その誘因として、遺伝的な要素、社会的環境、過剰なストレス、考え方・感じ方(悲観的、否定的、こだわりの強さなど)などが挙げられており、いくつかの誘因が絡んで発症すると考えられています。

症状

症状は多岐にわたります。複数の症状が現れる場合も少なくありません。また、ストレスを強く感じているときに症状が悪化するのも特徴的です。


●痛み・疼痛……頭痛、関節痛、腰痛など

●全身症状……倦怠感、疲労感など

●消化器症状……悪心・嘔吐、下痢、便秘、胃もたれ、食欲不振、腹痛など

●循環器症状……動悸、胸痛、高血圧など

●神経症状……めまい、しびれ、手足のピリピリ感、麻痺、歩行困難など

●精神症状……やる気が出ない、不安、イライラする、気分の落ち込み、睡眠障害など

●その他……のどの違和感、顎(がく)関節症、皮膚のかゆみなど

検査・診断

問診後に、症状を現す可能性のある疾患についての検査が行われます。全身の状態をみるための血液検査や尿検査のほか、例えば、動悸であれば心電図検査を、胃の症状なら上部消化管内視鏡検査を、関節痛や腰痛にはX線検査を行うなどです。

心身症が疑われたら、心理検査を行い、心の状態を探っていきます。

検査の結果、器質性か機能性かが鑑別されますが、器質性の異常として胃や十二指腸の炎症や潰瘍、機能性の異常として胃食道逆流症、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群、気管支ぜんそく、過換気症候群、本態性高血圧、良性発作性頭位めまい症、慢性頭痛、慢性疼痛、アトピー性皮膚炎、顎関節症などが挙げられます。

発症に心理的・社会的な因子がどの程度かかわっているか、現れた症状を心身症に分類してよいかなど、診断がむずかしい場合も少なくありません。うつ病などの精神疾患が症状をひきおこしている場合もあるため、鑑別は慎重に行われます。

治療

まず現れている身体症状を軽減する対症療法を行います。これによって症状が軽快され、加えて問診や医師とのカウンセリングを行うことで心身症が改善されるケースもあります。漢方薬が用いられることもあります。

対症療法を数週間つづけても効果がみられない場合には、抗うつ薬や抗不安薬を用います。また、認知行動療法や精神療法、マインドフルネス、リラクセーション法などで、症状をコントロールする方法や、ストレスに向き合う方法を身につけて、改善に導きます。

状況によってはパートナーや家族などとの面接を行い、周囲の人も対象とした心理療法を行うこともあります。原因となるストレスが特定できる場合は、例えば、会社での部署異動や勤務時間の見直しなど、ストレスを軽減する方法を探ります。

セルフケア

療養中

心身症は改善までに時間がかかり、再発のリスクが高いのも特徴です。ストレスへの抵抗力をつけるためにも、次のような点に留意して生活しましょう。


●規則正しい生活を心がける。夜更かし、朝寝は避けて生活リズムを守る

●睡眠、休養は意識してしっかりとるようにする

●食事は一日三食、規則正しく、バランスのよい食材をとる

●毎日30分でもいいので、からだを動かす習慣をつける

●禁煙、節酒を心がける

●呼吸法や自律訓練法などのリラックス法を体得し、継続して行う

監修

赤坂溜池クリニック  院長

降矢英成

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