境界性パーソナリティ障害

きょうかいせいぱーそなりてぃしょうがい

最終編集日:2022/3/15

概要

境界性パーソナリティ障害は、感情の振れ幅が激しく両極端な考えになったり、自分で自分の感情を抑えられずに問題をひき起こしてしまったりする傾向のある疾病です。

パーソナリティ障害には10種類ありますが、このタイプは衝動的で周囲を巻き込みやすく、人から見捨てられたくないという強い不安を特徴とします。人間関係をうまく築けず、ときに自傷行為に及ぶこともあります。

男性よりも若い女性の発症率が高いといわれています。


原因

境界性パーソナリティ障害を発症する原因は人によってさまざまですが、不安を感じやすいなどの生まれつきの性格素因、家族内の遺伝的要因、環境的要因などがかかわっていると考えられています。

環境的要因では幼児期・小児期のストレスが関与しているとされ、身体的・性的虐待を受けたことのある人、養育者からの愛情不足、あるいは過干渉があった人において境界性パーソナリティ障害を発症する可能性が高いとみられています。また、親子の共依存状態が要因となることもあるようです。


症状

境界性パーソナリティ障害では、感情的で衝動的な思いを強く発する傾向にあります。人から見捨てられることを極度に恐れ、自己意識が低いために常に気持ちが不安定です。また、特定の人に執着をみせることがあり、自分の思いどおりにしようとしますが、それがうまくいかないと一転して攻撃的になり、相手に暴言を吐いたりすることがあります。


よくみられる症状には、次のようなものがあります。

・人に見捨てられることを強く恐れ、常に不安を抱いている

・気持ちの変動が激しく、他者との交流がうまくいかない

・自分の感情を抑制できない

・ときに激しく怒り、その後に自己嫌悪になる

・自傷行為をくり返したり自殺をほのめかしたりして、人の注意を向けようとする

・アルコールや薬物、性行為、万引き、過食などに依存しやすくなる

・虚無感におおわれ、幸福感を感じにくい

・極度のストレスを感じると、一時的に解離のような精神状態になりやすい


検査・診断

本人をはじめ家族や周囲の人からも状況をよく聞くなど、くわしい問診が行われます。必要に応じて心理テストやMRI検査、脳波検査などが行われることがあります。

診断基準には、DSM-5(米国精神医学会による「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」)が用いられます。


治療

境界性パーソナリティ障害のおもな治療法は精神療法です。

精神療法のなかでも下記の療法は、衝動的な行動を改善させるのに有効とされています。

・弁証法的行動療法

自己否定感が強い境界性パーソナリティ障害の患者さんに対して「変化させるべきこと」(行動療法)だけでなく「変化させず受容すること」(承認)の両方を行う療法

・メンタライゼーションに基づく治療

自分や他者の精神の状態に注意を向け、その精神の状態を考慮し、認識をこころにとめて、考えたり感じたりできる「メンタライゼーション」という機能を培う療法

・転移焦点化精神療法

他者に依存的な境界性パーソナリティ障害の患者さんに対して、治療者への「転移」を活用して、患者が誇張・歪曲された非現実的な自己像を検討できるようにする療法


また、パーソナリティ障害をひき起こす原因のひとつに家族関係も挙げられます。家族療法により家族との問題を解決していくことが、症状の改善につながることがあります。

治療期間が長期にわたることが多いため、専門医との信頼関係を築いていくことも重要です。


境界性パーソナリティ障害による精神症状がある場合には、対症療法として選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬や少量の抗精神病薬が使用されることもあります。薬の服用は治療ではなく、症状の緩和に用いられます。


セルフケア

療養中

境界性パーソナリティ障害の治療中は、バランスのとれた食事や十分な睡眠、ストレスをためない生活がとくに重要になります。また、症状を放置しておくと悪化し、そのほかの精神疾患を併発することもあるため、根気よく治療をつづけることが大切です。


監修

赤坂溜池クリニック 院長

降矢英成

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