うつ病

うつびょう

最終編集日:2022/1/11

概要

うつ病は気分が落ち込み、何事に対しても意欲が湧かない、楽しめないといった精神症状がなかなか回復しない病気です。多くは眠れない、疲れやすい、食欲がないなどの身体症状を伴うため、仕事や日常生活に影響が及ぶようになります。

遺伝、ストレス、薬の副作用など何かしらの原因で脳の働きが不調をきたし、発症すると考えられています。

日本では100人に約6人が経験しているという調査結果もあり、身近な疾病となっています。

原因

発症の原因はまだよくわかっていませんが、感情や意欲に関係する脳の神経伝達物質の働きに機能低下が生じるのと同時に、ストレスや環境の変化、からだの不調、ホルモンバランスの変化など、さまざまな要因が重なって発症する可能性があると考えられています。

神経の細胞から細胞へ感情の情報を伝える神経伝達物質には、セロトニン、ノルアドレナリンなどがあります。セロトニンは気分をおだやかにし、ノルアドレナリンは集中力を高めたり、積極的な活動を起こしたりするという働きがあります。何らかの原因によりその働きが低下すると、うつ病の発症につながるといわれています。

ストレスの種類には身近な人の死、引っ越し、転勤、昇進、就職などが挙げられます。薬の副作用は、ステロイドや降圧薬などが誘因のひとつとなることもあるようです。

また、うつ病を発症する人は男性よりも女性が約1.6倍多いことが知られています。女性では、妊娠や出産、更年期といったライフステージとの関連がみられる場合もあるので、注意が必要です。

症状

うつ病には、気分が落ち込み、物事に対する考え方が否定的になるという特徴的な症状があります。これは「抑うつ気分」と表現され、気がめいる、孤独を感じる、不安を感じる、イライラしやすくなる、やる気が出ない、悲観的になる、など人によってさまざまな現れ方をします。喜びなどのポジティブな感情が湧かず、死にたいと思うほどつらい気持ちになることもあります。

このような精神的症状のほか、からだに現れる不調もあります。食欲がない、疲れやすい、不眠になる、寝すぎてしまう、頭痛や胃痛がある、便秘や下痢をしてしまう、などが多く挙げられます。

こうした症状は、精神的症状が現れる前に「うつ病のサイン」として、からだに現れる場合があります。

また、周囲の人から見てわかる変化として、表情が暗い、動作や反応が遅い、落ち着きがない、飲酒量が増える、などといったものがあります。

検査・診断

薬の副作用の可能性をはじめ、「どのような症状がどのくらいの期間つづいているか」「どのような経過がみられるか」「日常生活でどのようなことに困っているか」など、誘因を探りながら詳細な問診が行われます。診断によって治療方法が変わるため、慎重に判断されます。

精神的症状に対しては、必ずしも脳波や頭部の画像検査(CT検査やMRI検査)が必要なわけではありません。脳腫瘍や内分泌疾患、認知症などが疑われる場合は、検査が必要なこともあります。

何かしらの身体的症状がある場合は、その症状の程度により検査が必要かどうか検討されます。血液検査や内視鏡検査などを実施することでうつ病の原因、そのほかの疾病の可能性を探ることもあります。

治療

うつ病と診断されても、すべての人が同じ治療法になるわけではありません。おもな治療法としては休養、精神療法、薬による治療(薬物療法)などがあります。


●休養

うつ病は、ストレスが大きな誘因となっていると考えられています。まずは心身ともにゆっくりと休養できる環境を整えることが重要です。場合によってはさまざまなストレスから離れるために、入院して治療をするという方法もあります。


●精神療法

医師やカウンセラーと対話を重ねながら、症状の改善をめざします。うつ病を発症した人の感情や考えをよく聞き、受け止めて支持することで心理的安定を得られるように援助していく「支持的精神療法」、認知のあり方を変えることにより、抑うつ気分をやわらげようとする「認知行動療法」などがあります。


●薬による治療

おもに抗うつ薬が用いられます。継続しての服用が必要となるため、なるべく副作用を抑えられるよう最初は少量から服用を開始し、徐々に適正量を見極めていきます。個人差がありますが、効果が現れるまで2〜8週間ほどかかるので、自分の判断で中断したりせず、医師と相談しながら服用することが大切です。身体的な症状に対しては、その症状に応じた治療薬を併用することもあります。

抗うつ薬が有効でない場合は、抗精神病薬が使われることもあります。


●その他

専門的な治療法として、高照度光療法、電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激療法などが用いられる場合もあります。

セルフケア

予防

過度なストレスをためないよう、適度な運動、十分な睡眠、バランスのよい食事を心がけることなどが予防・再発防止につながります。

監修

赤坂溜池クリニック 院長

降矢英成

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