心気症
しんきしょう

最終編集日:2022/3/10

概要

心気症とは、何かのささいな兆候によって自分が何かしらの重篤な病気にかかっているのではないか、今後かかるのではないかと思いこみ、深く悩んでしまう状態のことをいいます。

検査を受けても異常や病気が見つからないため、次々と病院を替えて受診する(ドクターショッピング)場合が少なくありません。不安が強くなると日常生活や仕事に支障が出ることもあります。DSM-5という診断基準では「病気不安症」と呼ばれています。


原因

はっきりとした原因は不明ですが、ストレスや過労、過去に実際にあった病気、身近な人の病気体験などが原因になっていることがあります。まじめで神経質な人に多い傾向があるとされ、本人の性格や生活環境、転校・転居といった環境の変化などをきっかけに起こる場合もあります。

症状

からだの生理的な反応を病気だと思い込み、自分が何かしらの重い病気にかかっているのではないか、あるいはかかるのではないかと、強い不安・恐怖感を抱きます。例えば、頭痛が生じれば「脳腫瘍では?」と考えたり、動悸がすると「心臓病では?」と疑ったり、ささいな不調から「もしかしたらがんでは?」と思いこんだり(がんノイローゼ)します。自分のからだのことをくり返し調べたりする人もいます。「病気ではない」と診断されても、納得のいく答えを求めて次々と病院を受診することも多いといわれています。気になる症状が現れると不安にかられ、日常生活や学校、仕事に影響が及ぶこともあります。

男女で差はなく、小児から高齢者まで幅広い年代で起こります。

身体症状としては、頭痛、耳鳴り、胃痛、吐き気、動悸、しびれ、発汗、めまい、呼吸苦、倦怠感などがみられる場合があります。

心気症がつづくことで、不安障害うつ病を合併することがあります。


検査・診断

身体症状に応じて関連する検査が検討されます。まずは本当に体に異常がないかどうか調べることが重要です。詳細な問診とあわせ、うつ病などほかの精神疾患の有無についても区別されます。


検査により「病気ではないこと」、あるいは「見つかった病気や身体症状が軽い病気であった」場合、そのことを本人に説明したにもかかわらず、6カ月以上にわたり病気に関する思いこみや不安がつづいたときに「心気症」と診断されますが、判断にあたっては必ずしも6カ月が必要というわけではありません。


治療

心気症では、不安感からいくつもの病院を受診するケースも少なくないため、信頼できる医師との関係構築が有用となる場合があります。おもな治療としては「自分が何かしらの病気ではないか?」という心配や思い込みを変えられるように、認知療法、行動療法、認知行動療法、支持的精神療法、集団療法といった行動療法や精神療法が行われます。


身体症状として現れている場合には、その原因となっている症状の改善に効果が期待できる内科的療法・外科的治療が施されます。

また、心気症は不安障害やうつ病に関連することがあるため、強い症状がある場合は抗うつ薬を使用することがあります。


セルフケア

療養中

不安感への対処方法として、日常生活にリラクセーションなどを取り入れるなど、リラックスできる時間をもつことも大切です。

また、自律神経を鍛えるために軽い運動を毎日続けたり、朝きちんと目覚めるために十分な睡眠をとったりするなど、生活リズムを整えることを心がけましょう。

監修

赤坂溜池クリニック 院長

降矢英成

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