ヒステリー(解離性障害)ひすてりー・かいりせいしょうがい
最終編集日:2022/3/10
概要
“ヒステリー”という言葉は、「感情のコントロールができない人」というイメージをもたれがちです。
しかし、以前から研究されていた機能的障害のことで、“ヒステリー”は現在は「解離性障害」と呼ばれています。この病気は時間をかけて辛抱強く治療を行う必要があるため、家族や周りの人たちの病気への理解と主治医との信頼関係がとても大切です。
原因
ヒステリー(解離性障害)は、極度のストレスや心的外傷が引き金となって精神や身体的機能が意識から解離し、自分の意志でコントロールできなくなった状態です。一般的に、その背後には解決がむずかしい問題や人間関係の葛藤などの心理的な原因が認められます。
例えば幼少期に親から受けた虐待や、事件、事故、災害などショックを受けるような出来事を体験した記憶から逃れるために、無意識に自分の感情から切り離そうとするのです。
転換性障害といって、とくにからだには病気がないにもかかわらず、さまざまな身体的症状が現れることもあります。
症状
おもに精神面に症状が現れる場合を解離性障害、身体面に症状が現れる場合を転換性障害と呼びます。
●解離性障害
苦痛を伴う不快な体験によって、その部分の記憶がなくなる「解離性健忘」、耐え難い現実から逃れるため、数日、あるいは長期間にわたって失踪する「解離性とん走」、自分を外から眺めているような感覚に陥る「離人症」など、さまざまな症状が現れます。
●転換性障害
姿勢を保てなくなる、立つことができない、歩くことができない、声を出すことができないなどの随意運動(自分の意志によって行う運動)の障害や、見えなくなる、聞えなくなる、匂いや味がわからなくなる、物に触っても冷たい、熱いなどがわからないといった感覚機能の異常、解離性けいれん(心因性非てんかん性発作)などがあります。
検査・診断
診断では症状が現れた状況や家庭環境、職場環境、ストレスの状態などを聞き、精神科医との面談で注意深く症状を観察します。同時に脳腫瘍やてんかん、全身性エリテマトーデスなど、ほかの病気が隠れていないか確認するために頭部MRI検査、脳波検査および違法薬物の使用がないかを調べる尿検査などを行います。心理検査も必要に応じて行います。
治療
解離性障害、転換性障害ともに、その症状の程度は人によってさまざまです。この障害自体に有効な薬はありませんが、うつ状態が強く出ている場合は抗うつ薬、精神的不安が強い場合は抗不安薬といったように、症状にあわせて薬を使用することもあります。
催眠療法などの精神療法を用いる場合もあります。
いずれにしても、治療には時間がかかることを覚悟して、辛抱強くつづけていく必要があります。
セルフケア
予防
解離性障害は、心身の疲労や過度のストレスが引き金となって発症すると考えられています。
とはいえ生きていくうえで、疲労やストレスはつきものです。規則正しい生活を送り、スポーツや音楽、入浴など、自分なりのストレス解消法をみつけましょう。
監修
赤坂溜池クリニック院長
降矢英成
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