脾腫
ひしゅ

最終編集日:2023/12/8

概要

脾臓が腫れた状態を指します。脾臓は左の肋骨の下辺りにある、握り拳くらいの大きさ(10cm×6cm×3cm程度)の臓器で、古くなった血球を壊す、リンパ球の産生、免疫機能などの働きをしています。通常、脾臓の長径と短径をかけた値が40cm2以上を脾腫としています。

また、日本人間ドック・予防医療学会では、超音波(エコー)検査で、脾臓の最大径が10cm以上15cm未満のものを良性の軽度脾腫、15cm以上のものを良性・悪性の判定が困難で要精密検査としています。

脾腫を起こす疾患は感染症、肝臓の疾患、血液の疾患など、多岐にわたります。急性脾腫と慢性脾腫があり、慢性脾腫には無症状のものも含まれます。

原因

原因疾患として、次のようなものが挙げられます。

① 感染症(ウイルス性肝炎伝染性単核球症敗血症サイトメガロウイルス感染症結核マラリアなど)、②自己免疫疾患(全身性エリテマトーデス関節リウマチサルコイドーシスなど)、③血液疾患(白血病悪性リンパ腫真性赤血球増加症など)、④うっ血性疾患(肝硬変、門脈圧亢進、心不全など)、⑤代謝異常(アミロイドーシスなど)、⑥悪性腫瘍(肺がん乳がん悪性黒色腫〈メラノーマ〉からの転移など)

症状

通常、脾臓の腫大が正常の3倍以上になると手で触れてもわかるようになるとされています。軽度の脾腫であれば、症状は現れません。

原因疾患によって急性脾腫を起こした場合、左上腹部の痛み・圧迫感、腹部膨満感、発熱などがみられますが、多くは脾腫の症状が前面に出てくるわけではなく、原因疾患による症状のひとつとして現れるにすぎません。

慢性の場合、貧血症状、倦怠感、腹部膨満感などがみられ、無症状の場合もあります。

検査・診断

既往歴・渡航歴などの問診、触診、X線検査、超音波検査、CT検査などで脾腫を確認し、血液検査が行われます。並行して原因の特定のために、疑われる原因疾患に沿った検査が行われます。

治療

原因疾患の治療が優先されます。脾腫が重度になって、脾臓の一部の出血や壊死、重度の貧血、白血球の減少による感染症のリスクの増大、出血傾向などがみられるような場合には、脾臓摘出を考慮することもあります。脾臓摘出後は感染症にかかりやすくなる、敗血症のリスクが高くなるなどが起こるため、摘出のメリット・デメリットをよく検討する必要があります。

セルフケア

療養中

脾腫が認められた場合には原因の特定が必要です。原因疾患を治療することにより、脾腫の改善がみられます。原因疾患によってはセルフケアが重要になる場合があります。生活上の注意点などについて、一度主治医に確認するとよいでしょう。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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