関節リウマチ
かんせつりうまち

最終編集日:2022/4/11

概要

関節リウマチは、免疫の異常によって起こる、手指、足趾、手首、足首のほか肩、ひじ、ひざなどの関節に炎症が起きて痛みや腫れが生じる病気です。症状が進むと関節の変形や機能障害に至ります。明確な原因はまだわかっていませんが、遺伝的要因をはじめ、喫煙といった環境要因がかかわると指摘されています。発症に男女差がみられ、女性は男性にくらべて多い傾向で、約4倍の差があります。年代別にみると40~60歳代の発症が多いですが、さらに高齢での発症ケースが増えてきています。

原因

からだの免疫機能は、ウイルスなどから身を守る働きをしますが、免疫機能の異常により、自身の関節や細胞を攻撃することがあります。これによって関節に痛みや腫れが起こります。

発症原因はまだ判明していません。しかし、遺伝的要因のほか喫煙、歯周病、腸内細菌といった環境要因が関連していることが指摘されています。

症状

おもな症状には、関節の痛み、腫れ、こわばりなどがあります。初期には朝方にこわばりを感じるようになり、左右対称に手足の指の関節が腫れます。

症状の進行とともに関節破壊が起こると、小さな関節であっても日常生活に大きな支障が出てきます。

病変が進むと、長期間の炎症によって骨や軟骨がだんだん破壊されていきます。さらに、関節の変形や脱臼、関節が硬くこわばってしまう拘縮(こうしゅく)、関節が完全に固まって曲げ伸ばしが困難になる強直をひき起こすこともあります。

また患者さんによってはひざ関節や股関節などの大きな関節が侵されることもあり、歩行困難が生じる場合もあります。

関節リウマチ(末期の足の病変)
関節リウマチ(末期の足の病変)

検査・診断

関節リウマチの診断は、問診やどの関節に痛みや腫れがあるかを調べる身体所見のほか、血液検査や画像検査を組み合わせて行ないます。

●血液検査

自己抗体のリウマトイド因子(RF)や関節リウマチの特異性が高い抗CCP抗体について検査します。ただし、この2つの血液検査がともに陰性であっても関節リウマチと診断するケースや、反対に陽性でも関節リウマチと診断できないこともあり、診断は臨床所見もあわせて行われます。また、関節の炎症度合いを知るために、血液から炎症反応を調べます。赤血球沈降速度を調べる赤沈(せきちん)や炎症反応を調べるCRP抗体の検査が行われます。

●画像検査

X線(レントゲン)検査が中心です。手足の状態や自覚症状のある関節を撮影して、骨が欠けていないか、骨と骨の隙間が狭くなっていないかといった、関節リウマチの症状の有無を調べます。よりくわしい検査が必要なケースでは、関節超音波検査やMRI検査を行うこともあります。

治療

関節、骨、軟骨は破壊されると元に戻せないため、関節リウマチは早期治療が肝心です。治療の基本は「薬物療法」ですが、生活習慣の見直しを図る「基礎療法」も欠かせません。症状の進度によっては「理学療法」や「手術療法」も検討します。

●薬物治療

関節リウマチの治療の基本となります。抗リウマチ薬と非ステロイド性消炎剤を用いて、関節の炎症や破壊を抑えます。効果が不十分な場合や症例に応じてステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤を使うこともあります。

●基礎療法

規則正しい生活を送るために、適度な運動、安静、食生活などに気をつけます。喫煙や歯周病が症状を悪化させるケースもあるため、禁煙や歯周病治療の指導を受けることもあります。

●理学療法

リハビリテーションのことです。筋力や関節の可動域を維持するために行います。関節の変形の保護、日常生活の動作補助を目的として、器具を装着することもあります。

●手術療法

薬物療法や理学療法を行なっても関節の変形や破壊が進む場合には、関節や背骨の手術を行います。

セルフケア

病後

関節は一度炎症を起こすともろくなっていることが多く、二次的な損傷を防いで関節の機能を維持向上させるために、リハビリテーションが重要な役割を果たします。筋力や関節の可動域を維持しながら、毎日の適度な運動、食生活、禁煙、歯周病治療などにも留意しましょう。

監修

東馬込しば整形外科 院長

柴伸昌

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