非アルコール性脂肪肝炎(NASH)ひあるこーるせいしぼうかんえん・なっしゅ
最終編集日:2022/4/4
概要
肝臓の病気というと、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどが原因のウイルス性肝炎や、過度な飲酒が原因のアルコール性肝障害などが浮かびますが、それらに関係なく発症する肝臓病があります。
飲酒をしないにもかかわらず、アルコール性肝障害と同様の症状を起こす病気を総称して非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)といい、“ナッフルド”と呼びます。このNAFLDが進行した病態で、アルコール性肝炎に類似し脂肪肝から肝硬変、肝臓がんへと進行していく病気が非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis :NASH)、通称“ナッシュ”です。
原因
NASHを発症する原因はわかっていません。
最近の研究では、NASHの発症にはインスリン抵抗性(膵臓から分泌されるインスリンの作用が十分に発揮されていない状態)や酸化ストレス、さらに遺伝的要素がかかわっているのではないかと考えられています。
症状
重症化して肝硬変を発症しないかぎり、はっきりとした症状は現れません。
疲労感や倦怠感、右上腹部の不快感が生じることもありますが、NASHの特徴的な症状ではないため見逃されがちです。約75%の患者さんに肝腫大(肝臓の肥大)が生じるという報告もあります。
検査・診断
ほとんどの場合、健康診断や人間ドックなどで行われる血液検査や腹部超音波検査で、まず脂肪肝が発見されます。次に精密検査でB型肝炎やC型肝炎などではないことが確認され、さらに飲酒歴がない場合にNASHが疑われます。
確定診断にはCT検査やMRI検査などの画像検査で脂肪肝を確認し、最終的には、肝臓の組織を採取して顕微鏡で脂肪沈着と肝炎・線維化を確認する肝生検を行います。
治療
現在、完治させるための治療法は確立されていません。
食生活や生活習慣の見直しを行い、体重をコントロールし、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を治療・改善させることで、NASHも快方に向かいます。
セルフケア
療養中
NASHは肝硬変から肝臓がんへと進行することも多い病気です。目立った症状がないからと放置せず、定期的に血液検査や超音波検査やCT検査などの画像検査を行うことが重要です。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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