薬物性肝障害

やくぶつせいかんしょうがい

最終編集日:2022/4/5

概要

薬物性肝障害とは、薬が原因で起こる肝障害の総称で中毒性とアレルギー性に分けられます。原因となる薬は病院で処方される薬や市販薬だけでなく、健康食品やサプリメントも含まれ、本来、健康のために使われる薬が肝障害をひき起こすこともあります。

薬物性肝障害の多くはアレルギー性で、原因となった薬の服用をやめることで症状が改善します。まれに劇症化して命にかかわることもあるため、早期発見が重要です。


原因

薬物性肝障害には、中毒性のものとアレルギー性のものがあります。薬の多くは肝臓で分解・解毒され、胆道あるいは腎臓から排泄されます。

中毒性肝障害の場合、肝臓の分解能力を超える量の薬を服用することで起こります。総合感冒薬に含まれているアセトアミノフェン、健康食品やサプリメント、やせ薬、経口避妊薬、抗結核薬などが原因となることが知られており、一定量以上の量を服用すれば誰にでも起こるものです。

一方、アレルギー性肝障害は、薬物に対するアレルギー反応として肝細胞障害が生じるというものです。薬の服用から1~8週間で肝障害が現れるとされていますが、発症には個人差があります。少量の薬でも起こる可能性があり、予測することはむずかしいです。アレルギー反応を起こす薬には、抗生剤、解熱鎮痛剤、化学療法薬、麻酔薬、抗不整脈薬などあります。


症状

薬物性肝障害には、肝細胞が直接ダメージを受ける肝細胞障害型と、胆汁の輸送や分泌に障害が出る胆汁うっ滞型がありますが、多くの場合、自覚症状はありません。

健康診断などで肝機能検査をして初めて発見されることが多いようです。症状が現れる場合は、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気などがみられます。

アレルギー性肝障害では、じんましんなどの発疹や皮膚のかゆみがみられます。

また、胆汁の流れが滞る胆汁うっ滞型では、皮膚や白目の部分が黄色くなる黄疸の症状がみられます。


検査・診断

肝障害を起こしている原因が薬の服用と関係があるかどうかを見きわめることが診断のポイントとなります。問診では、肝障害を起こす前にどんな薬を服用したかについてくわしく確認します。

原因となる薬には、抗生剤や解熱鎮痛剤などのほか、漢方薬、健康食品、サプリメントなども含まれます。問診で飲んでいる薬を聞かれた場合には、それらをすべて伝えましょう。

そのほか、血液検査で肝障害の程度を調べるのに加え、ほかの病気ではないことを確認するために、腹部超音波検査や腹部CT検査、MRI検査などの画像検査を行うことがあります。薬物アレルギーが疑われる場合には、リンパ球培養試験やパッチテストなどの薬物感受性試験を必要に応じて行います。


治療

治療の基本は、原因と思われる薬の使用を中止することです。軽い肝障害の場合には、薬を中止するだけで症状が改善します。黄疸や重い肝障害がある場合には、入院治療が必要な場合があります。具体的には、肝臓の負担を減らすために低たんぱく、低脂肪の食事による食事療法、肝臓の細胞を安定化させるための注射や胆汁の排出を促すための内服薬などを使った薬物療法が行われます。

アセトアミノフェンを大量に服用したことで急性の肝不全を起こしている場合には、胃洗浄などの処置が施されることもあります。


セルフケア

病後

再発予防のためには、一度、肝障害を起こしたことのある薬は服用しないことが重要です。服薬履歴が載っているお薬手帳を活用するようにしましょう。

予防

薬物性肝障害は、どの薬によっても起こる可能性があります。漢方薬や健康食品、サプリメントなども例外ではありません。薬の管理には十分に気をつけるようにしましょう。薬を飲み始めてから体調に何らかの変化が生じた場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

健康食品やサプリメントであっても本当に必要かどうかを慎重に検討しましょう。判断に悩む場合には薬剤師や医療従事者に相談してください。

肝障害は進行するまで症状が現れないことが多いようです。早期発見のためには、定期的に血液検査を受けることが望ましいとされています。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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