A型肝炎えーがたかんえん
最終編集日:2023/3/20
概要
A型肝炎ウイルスに感染して起こる急性肝炎で、4類感染症に分類されています。B型肝炎やC型肝炎と異なり、一過性で慢性化せず、一度罹患すると免疫が獲得されて、2度目の感染は起こりません。しかし、日本感染症学会によると、50歳以上のケースでは劇症肝炎などを合併しやすく、合併例では致死率は1.8~5.4%になるとされています。日本では年間100~300人程度の患者数ですが、世界では1年に150万人の患者がいると推定されています。サハラ砂漠以南のアフリカ、南アジアでの発症率が高くなっています。
原因
多くは経口感染します。A型肝炎ウイルスに汚染された生水、氷、野菜、果物、魚介類などを飲食することで感染します。カキやアサリなどの二枚貝を生食して感染することもよく知られています。また性行為(アナルセックス、オーラルセックス)で感染するケースもあることから、性感染症のひとつにもなっています。
症状
感染から2~7週間の潜伏期間を経て、突然、吐き気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、黄疸(おうだん)、発熱、関節痛、右上腹部の圧痛などが現れます。
検査・診断
症状はかぜやインフルエンザに似ていて、黄疸、食欲不振、右上腹部の圧痛など、A型肝炎に特徴的な症状がない場合は、診断が難しいこともあります。問診で渡航歴の有無、食事内容などを確認することが大切です。
A型肝炎ウイルスの感染が疑われたら、血液検査で、A型肝炎検査(IgM-HA抗体を調べる)を行います。同時に肝機能も調べます。
治療
A型肝炎ウイルスに対する治療薬は、現時点ではありません。対症療法と栄養管理を行いながら、急性期には入院して安静を保ち、肝炎が重症化して劇症肝炎や急性肝不全などを起こさないように適切な管理を行います。症状の多くは2~3週間で軽快し、1~2カ月で完治します。
セルフケア
予防
発症2週間前~発症後1週間の間が、もっとも感染力が強い期間です。手洗いをしっかりする、家庭では患者さんの排泄物の処理を安全・確実に行うなどを励行します。
感染予防策として、A型肝炎の発症率の高い地域に旅行する際には、厚生労働省検疫所のサイト(FORTH)などで感染状況を調べてから渡航します。渡航先では生水や生もの、氷など、感染リスクのあるものを直接口にしない、屋台での飲食を避けるなどを守ります。果物や野菜を洗う水も汚染の可能性があるため、注意が必要です。
また、カキなどの二枚貝を生で食べる場合は、必ず「生食用」とパッケージに書かれたものを購入しましょう。「生食用」「加熱用」の表示は義務づけられています。外食の場合は、信頼のおける店を選ぶようにしましょう。
A型肝炎には、予防のための不活化ワクチンがあり、リスクの高い地域に出かける場合はワクチン接種がすすめられます。一般的に2~4週間の間隔で2回接種、3回目を半年後に行います。2回だけでも予防効果は十分ですが、3回目を接種するとさらに効果が上がり、5年間有効とされています。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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