乳がんにゅうがん
最終編集日:2022/1/11
概要
乳房は母乳をつくる乳腺とそれを包む脂肪組織からなりますが、乳がんは乳腺にできるがんです。30歳代から増加し始め、40歳代後半から50歳代の女性に発症しやすいのが特徴です。
女性がかかるがんのなかでもっとも多く、11人に1人の女性が生涯で乳がんに罹患するといわれています。
原因
女性ホルモンのエストロゲンが深く関与しています。初経年齢が早い、閉経年齢が高い、出産経験がない、初産年齢が高いなど生涯に経験する月経回数の多い人はエストロゲンの分泌量が相対的に多くなるので、その分、乳がん発生のリスクが高まるといえます。
飲酒、閉経後の肥満、脂質の多い食生活、運動不足といった生活習慣も発症リスクを高める原因になります。また遺伝的に乳がんや卵巣がんにかかりやすい人を遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)といい、注意が必要です。
症状
おもな症状として乳房に表面がでこぼことしたしこりができます。そのほか、乳房にえくぼやただれ、乳首の陥没がみられたり、乳首から血液が混じった分泌物が出たりすることがあります。
検査・診断
視診、触診でしこりの有無、大きさ、硬さを確認し、マンモグラフィや超音波検査で乳房内の病変の有無、しこりの性状や大きさなどを調べます。マンモグラフィでは超音波検査では見つけにくい微細な石灰化(組織の一部にカルシウムが付着すること)を見極めることができます。
これらの検査によって乳がんの疑いが強いと判断された場合は、細胞診、組織診を行います。
治療
がんの進行度、病変組織の細胞の特徴、年齢、本人の希望などを総合的に検討し、手術療法、放射線療法、化学療法を組みあわせて行います。
手術では乳房の一部、もしくはすべてを切除する治療法となります。リンパへの転移が認められた場合には、必要に応じてリンパ節の切除も行われます。乳房全体を切除した場合は、腹部や背中から採取した脂肪組織やシリコンインプラントなどを用いて、新たに人工的に乳房を再建する手術も行われます。
初期から中期段階の乳がんでは手術後に放射線療法や抗がん剤またはホルモン剤の投与を行うのが一般的です。手術を行うことがむずかしい中期から後期のがんの治療法として選択されることもあります。
セルフケア
療養中
がんに伴うこころとからだのさまざまな苦痛をやわらげ、自分らしくすごせるよう、がんと診断された段階から必要に応じて緩和療法を受けてください。
病後
年に1回ぐらいの割合で、手術した乳房の反対側の乳房の検診を受けるようにしてください。初期治療終了後、3年間は再発の可能性が高いので3~6カ月に1回、4年目以降は年に1回、経過観察のための診察を受けることが推奨されていますので、担当医の先生の判断に従ってください。
予防
飲酒や喫煙、肥満などは乳がんの発症リスクを高めます。過度な飲酒や喫煙は控え、適正体重を保ちましょう。また、定期的に乳がん検診を受けることも大切です。
監修
Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科
秋野なな
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