アルコール性脂肪肝

あるこーるせいしぼうかん

最終編集日:2022/4/4

概要

肝臓に中性脂肪が異常に蓄積し、フォアグラのようになってしまう状態を脂肪肝といいます。そのなかでアルコール多飲が原因で発症するのがアルコール性脂肪肝です。

肝臓は代謝と解毒という重要な働きを担い、肝細胞が破壊されてもからだに不都合が起きないよう再生力と予備力を備えています。そのため、ダメージを受けても症状が現れにくいのが特徴です。

アルコール性脂肪肝は、アルコールが原因で発症する肝障害のうち、初期段階に起こるもので、無症状のため健診などで指摘されて気づくことがほとんどです。アルコールを控えることで状態は改善されます。


原因

アルコール性脂肪肝をひき起こす原因は多量飲酒です。

多量飲酒の目安としては、一般的には毎日3合の日本酒を5年以上飲みつづけると肝臓に何らかの障害が起こるとされていますが、女性の場合はそれよりも少ない量で肝障害を発症します。3合の日本酒は、ビールならば中びん3本程度、ウイスキーならダブルで3~4杯にあたります。

アルコールは、そのほとんどが肝臓で分解・解毒され体外に排出されます。酒を飲むと肝臓はアルコールの代謝をはじめ、完全に分解するまで働き続けます。毎日大量の酒を飲みつづけると、アルコールを分解する酵素の働きが活発になり、より多くのアルコールを摂取できるようになりますが、その分だけ肝臓は働きつづけ、負担がかかることで処理能力が低下してしまいます。

加えて肝臓には脂肪を分解する働きもありますが、アルコールの分解を優先させることによって、脂肪が分解されずに残ってしまい、肝臓に中性脂肪がたまってしまうのです。


症状

アルコール性脂肪肝を発症してもほとんどの場合、自覚症状はありません。健康診断などで指摘されて初めて気づくことが多いようです。

症状はなくても脂肪肝をそのまま放置して飲酒をつづけると、アルコール性の肝線維症から肝硬変に進行し、さらに肝がんへ移行するリスクが高くなりますが、反対に飲酒をやめれば肝臓は健康な状態にもどります。

症状が進むと全身の倦怠感や食欲不振、腹部の張り、疲れやすさなどを感じるようになります。黄疸やむくみ、腹水などが現れることもあります。このような症状は肝硬変の初期症状と重なります。肝硬変を起こした肝臓は、硬く小さくなり、元のようなやわらかい肝臓には戻りません。重症化すると命にもかかわる病気です。そうならないためにも、脂肪肝がわかったときには飲酒をやめ、医療機関を受診し治療を開始してください。


検査・診断

健康診断で発見されることが多いようです。血液検査のAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP:ガンマGTP)の数値から肝機能の異常を知ることができます。

問診では、現在の飲酒量や飲酒の習慣などを正確に把握する必要があります。

超音波検査やCT検査などの画像検査を行い、肝臓に蓄積されている脂肪の量を確認するなど肝臓の状態を観察します。

必要に応じて肝臓の細胞を採取して顕微鏡で観察する肝生検を行います。また、アルコール性の脂肪肝はアルコール依存症との関係も否定できないため、精神科医と連携してアルコール依存症の診断を行うこともあります。


治療

アルコール性脂肪肝の治療は、禁酒と食事療法です。禁酒・断酒することが最善ですが、無理な場合は、1日の酒量を決め、週に2日は休肝日を設けて肝臓を休ませるように指導します。そうすることで肝臓は健康な状態に戻り、それ以上症状が進むのを防ぐことができます。

食事療法としては、脂肪分の少ないバランスのとれた食事をとるように指導します。また、この病気はアルコール依存症を伴っているケースも少なくないため、精神科医によるカウンセリングなどの治療を行うこともあります。



セルフケア

療養中

もっとも効果的なのは禁酒・断酒です。完全に飲酒をやめることができなくても、1日の飲酒の適正量を守る、週2日は酒を飲まない休肝日を設けるなど、日頃から飲酒習慣をコントロールすることが大事です。

飲酒の適正量は個人の体質によって異なりますが、大量飲酒の基準として1日3合分の日本酒という数値がありますから、3合以上の飲酒はほとんどの人にとってよくないといえます。また、アルコール性脂肪肝の人は、栄養状態が偏っていることも多いため、不足しがちな栄養素を調べ、改善するようにしましょう。

日常、酒をどのくらい飲んでいるのか、酒と一緒に何を食べているのか、脂肪分や糖分を多くとりすぎていないかなど、食生活を見直してみることも大事です。

自覚症状のない状態を律することはなかなかむずかしいですが、重症化を防ぐためにも根気強く治療を続ける必要があります。主治医のもとを定期的に受診し、血液検査を行うなど、自身の肝臓の状態を定期的にチェックすることが治療に役立ちます。


監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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