肺結核
はいけっかく

最終編集日:2022/1/11

概要

結核菌に感染することによって発症する肺の感染症です。肺以外にリンパ節、腸、骨などにも感染します。かつて結核は日本人の死因のトップで、1950年以前の患者数は年間60万人以上、死亡者数は年間10万人以上でした。

結核菌に感染していても症状が出ないこともあり、国民の2人に1人は潜在的に結核に感染しているといわれ、まさに「国民病」でした。その後、有効な治療薬が開発され、今は薬で治る病気となっています。

原因

結核菌への感染によって発症します。結核菌を吸い込むと結核菌は肺のなかに侵入しますが、しばらくは肺胞にあるマクロファージという免疫細胞が菌を閉じ込め、発症にはいたりません。

しかし結核菌はマクロファージのなかで増殖できるという特性をもっているため、T細胞などほかの免疫細胞の働きが弱い場合には活性化して感染を起こした肺の場所に病巣をつくります。

加齢やストレス、糖尿病、HIVなどによって免疫力が低下している人は重症化しやすく、結核菌が炎症を起こして肺の組織を破壊します。

症状

せきたんだるさ発熱、体重減少などの症状が現れます。進行すると、息苦しさ、血痰、喀血、胸の痛みなどの症状が出ます。結核は空気・飛沫感染するため、せきやたんが出始めるとほかの人にも感染します。

検査・診断

胸部X線検査、胸部CT検査で肺結核特有の影の有無を確認します。たんのなかの結核菌の有無を調べるため、喀痰検査も行います。ツベルクリン検査や血液検査(インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)、クォンティフェロンTBゴールド(QFT)検査)でわかることもあります。

治療

抗結核薬を使った治療を行います。患者さんは4種類の治療薬と副作用予防薬を毎日服用します。

治療期間は6カ月以上にわたりますが、きちんと薬の服用をつづければ完治します。


セルフケア

療養中

せきが出る場合は必ずマスクをしましょう。血の混じったたんが出たり、せきが2週間以上つづいたりする場合はすぐに検査を受けたほうがいいでしょう。

予防

肺結核を発症しないためには免疫力を低下させないことが大切です。日頃から規則正しい生活習慣を心がけ、ストレスをため込まないようにしましょう。

監修

千葉大学病院 呼吸器内科特任教授

巽浩一郎

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