敗血症

はいけつしょう

最終編集日:2023/3/26

概要

敗血症は何らかの感染症にかかることで全身反応が起こり、多臓器不全など重篤な全身症状を示す病気です。感染症の大半を占めるのは、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などの「グラム陽性球菌」や大腸菌などの「グラム陰性桿菌(かんきん)」です。


発熱や疼痛、意識低下、頻呼吸や頻脈などが起こる敗血症は世界の死亡原因の約20%を占めるといわれる死亡率の高い疾患です。WHO(世界保健機関) も敗血症を「世界が取り組むべき課題」として設定しています。

国内でも推定で年間10万人が敗血症で命を落としており、たとえ命が助かっても後遺症などにより、長期にわたって社会生活に制限が生じることも少なくありません。

原因

からだに細菌やウイルス、真菌などが侵入した状態が「感染症」です。感染症にかかると体内から菌やウイルスを排除しようとする働き(免疫反応)が高まります。しかし、何らかの原因で免疫反応が過剰に働くと、自分の臓器や組織を傷つけてしまうことがあります(自己免疫抑制)。敗血症は、感染症とこの自己免疫抑制が入り混じった状態です。


感染症自体は日常的な病気なので、だれもが敗血症にかかる可能性があります。なかでも悪性腫瘍や糖尿病など持病がある人や65歳以上の高齢者、免疫システムが確立していない乳幼児は、敗血症のリスクが高まります。

症状

38℃以上の高熱や36℃未満の低体温、悪寒、全身のむくみやふるえ、頻脈、精神状態が普段と違う(様子がおかしい)など、いくつかの項目を満たすと「敗血症」と診断されます。多くの場合1つの症状や兆候が出るのではなく、発症とともにさまざまな症状が現れます。敗血症の状態が進んで、敗血症性ショックに進行すると多臓器不全を起こして命の危険が高まるため、できるだけ早期に治療を受けることが大切です。

検査・診断

体内の炎症の程度や肝機能などを調べるため血液検査が行われます。菌が特定された場合は抗菌薬が使われることもあります。また、さまざまな臓器の障害を明確にするため、CTやMRIを用いた画像検査が行われることもあります。血液培養検査では多くの症例で血液中に細菌が認められます。

治療

感染症そのものの治療と、障害を受けている臓器や全身の状態を改善させるための治療が同時に行われます。全身状態を改善させるためには酸素の投与や人工呼吸器の装着、輸血や輸液の投与などが行われます。


感染症の治療は細菌が原因であれば抗菌薬、ウイルスが原因であれば抗ウイルス薬など、原因となるウイルスや細菌に応じた薬が投与されます。もしこれらの治療を施しても全身状態が改善しない場合は、ICUなどでより専門的な治療が行われます。

セルフケア

予防

「敗血症」は特別な病気ですが、その発端となる「感染症」は日常的にだれもがかかる可能性があります。日頃から手洗いや手指消毒、マスク着用などの基本的な感染対策を行い、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルス、肺炎球菌などに対して、必要に応じたワクチンを接種することが大切です。とくに高齢者は肺炎などの感染症にかかりやすく、また敗血症の特徴的な症状が出ないこともあります。

また、持病をもつ人、とくに糖尿病の患者さんは知覚が鈍くなっていることがあるため、痛みが出にくいこともあります。


敗血症は早期発見・早期治療が何よりも大切です。何らかの感染症にかかった後に悪寒やふるえ、意識低下や頻脈などの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。とくに腎盂腎炎に伴う腎周囲膿瘍、胆のう炎に伴う急性化膿性胆管炎などでは重症化によって敗血症の発生が予測され、早期受診が大切といえます。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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