おなかの張り、痛み、出血 <妊娠中>おなかのはり、いたみ、しゅっけつ
最終編集日:2022/1/11
概要
妊娠中は出血や腹痛などさまざまな体調不良が起こります。また、妊娠すると子宮はどんどん大きくなります。通常はやわらかい状態ですが、何かのきっかけで子宮の筋肉が収縮してかたくなることがあり、これをおなかの張りといいます。
気にしすぎてストレスになるのはよくないことですが、異変を感じたら主治医に相談しましょう。
原因
妊娠中の出血は、時期によって原因が異なります。
おなかの張りは大きくなった子宮を支えるため、生理的に起きることもありますが、切迫早産や切迫流産が原因の可能性もあります。
●妊娠初期
妊娠初期の出血は、受精卵が着床したときの着床出血であることがほとんどですが、異所性妊娠(子宮外妊娠)や流産、絨毛膜下血腫などが原因のこともあります。子宮頸管ポリープ、炎症性のびらんなども原因になることがあります。症状によって対処法は異なります。
●妊娠中期
妊娠中期の出血は切迫早産や切迫流産の可能性があります。低置胎盤や前置胎盤が原因となることもあります。この時期に少量でも出血があったときは、すぐに主治医に相談しましょう。
●妊娠後期
臨月のわずかな出血は、出産の準備ができたことをからだが知らせてくれる「おしるし」です。その後、数日から1週間くらいで陣痛が始まります。妊娠後期の出血で気をつけなければならないのは、常位胎盤早期剥離です。これは分娩の前に胎盤が子宮からはがれてしまう病気で、母子ともに危険な状態になるため、流れるほどの出血や強い腹痛がある場合はすぐに主治医に相談しましょう。
症状
出血は、妊娠中期以降なら少量でも病院に連絡が必要です。出血が大量である、痛みが激しいなどの状況であれば救急車を呼んでください。
おなかの張りは人によって感じ方がさまざまで、妊婦が自分で原因や救急度を判断するのはむずかしいことです。痛みや張りが軽ければ、1時間ほど様子をみて、それでも治まらない場合に主治医に連絡をしましょう。
検査・診断
まずは問診でどのような状況なのを確認します。病院にかかるときは以下の情報を話せるようにしておきましょう。
・出血はいつ起こったか
・出血の際の、血液の色、出血の量、血液の状態、出血の仕方など
・出血の場合、おなかの張りや腹痛、発熱、下痢などほかの症状がないか
・妊娠20週以降であれば、胎動に変化はないか
治療
診断結果によって治療法は異なります。主治医の指示に従って生活するようにしましょう。
セルフケア
療養中
おなかの痛みや張りは生理的に起こるものもありますが、胎児からの「無理をしないで」のサインだと思って、できるだけ安静に過ごしてください。
立ちつづけて仕事をしたり、動きすぎたりして疲労をためないように心がけましょう。また精神的なストレスを抱えこまないように、ゆったりとした気分で胎児との生活を楽しんでください。
監修
JR東京総合病院 産婦人科医長
松浦宏美
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