早産
そうざん

最終編集日:2022/7/26

概要

早産とは、妊娠22週以降37週未満の分娩を指します。妊娠22週未満は流産として区別しています。規則的な子宮収縮が起こり、破水をみるなど、早産が起きそうな段階のものを「切迫早産」と呼びます。

早産は全妊娠の約5%に起こるとされています。


●早産と新生児の発育

分娩時期によって、新生児の生存率や後遺症の発生率が大きく変わってきます。

妊娠22~23週での分娩の新生児の生存率は50~60%程度、24~28週で生存率は80%程度とされています。28週未満では新生児網膜症や脳性麻痺のリスクが高くなります。28週以降では生存率は95%程度と上がりますが、34週未満では呼吸窮迫症候群などの呼吸器の後遺症が起こりやすくなります。

35週未満の出生では、新生児集中治療室(NICU)での治療が必要になることがほとんどです。

原因

早産を起こす原因として多いのは、絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染で、70~80%を占めています。そのほか、子宮頸管無力症、多胎妊娠、羊水過多、早産の既往、子宮頸部の手術の既往、子宮筋腫、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などがリスクファクターとして挙がっていますが、原因が特定されないケースも少なくありません。また、喫煙も早産のリスクが高くなります。

常位胎盤早期剥離や前置胎盤、胎児の異常などが原因で、人工的に早産を起こす必要が生じるケースもあります。

症状

早産の徴候として、出血、おりものの変化、おなかの張りなどが現れます。

出血は少量の場合もあれば、大量出血や血の塊が出る場合もあります。おりものの変化は、とくに子宮感染を起こしている場合にみられます。量が増えた、黄色や緑色などいつものおりものと色が違う、臭いが強いなどがあったら、感染症を疑い、早産を予防するために速やかに受診します。

検査・診断

問診と内診、経腟超音波検査、腹部超音波検査で診断をつけます。感染の有無を血液検査で調べ、胎児心拍モニタリングで胎児の状態をみることも行われます。

常位胎盤早期剥離、前置胎盤、切迫子宮破裂などがないかの鑑別診断も重要です。

治療

胎児の異常や常位胎盤早期剥離、前置胎盤などがなければ、子宮収縮抑制薬を用いてできる限り妊娠の延長を図ります。同時に34週未満であれば早産に備えて、胎児の肺成熟を促すために、ステロイドを投与します。また、感染の予防として腟内洗浄を行い、感染徴候がある場合には抗菌薬を投与します。

早産の徴候が軽度であれば、通院加療も可能ですが、子宮口の開大や子宮収縮の程度をみて判断します。

感染が原因の場合、抗菌薬を用いながら子宮内や羊水、胎盤などの感染の状態や胎児の状態をみて、早急な分娩誘発や帝王切開が必要かどうかを判断します。絨毛膜羊膜炎が疑われる場合、26週以降であれば誘発分娩や帝王切開が行われることもあります。

セルフケア

予防

早産の既往や子宮頸部の手術の既往があるなどで早産のリスクが高い場合には、18~24週に子宮頸管長を計測し、必要と判断されればホルモン薬を投与する、また子宮感染による早産の予防のために、20週くらいまでに抗菌薬の投与を行うなどの予防措置がとられることがあります。子宮頸管無力症があれば、子宮頸管縫縮術を考慮することもあります。

早産を防ぐためには、日頃からからだを冷やさない、過労やストレスを避ける、禁煙などを実践しましょう。そして、妊婦健診を欠かさず、出血やおりもの、おなかの張りなど異常を感じたらすぐに受診してください。

監修

小山嵩夫クリニック 院長

小山嵩夫

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