妊娠悪阻
にんしんおそ

最終編集日:2022/1/11

概要

つわりが重症化して、1日に何度も吐いて体重が減ったり脱水を起こしたりすると、妊娠悪阻と診断されることがあります。

重症の場合は入院して点滴が必要になりますが、通常の治療で症状が改善する程度なら胎児に影響はないので心配しすぎる必要はありません。ただし重症化してウェルニッケ脳症を発症すると、意識障害などが起こり、母親に深刻な後遺症が残ったり、母子ともに危険な状態になったりします。

原因

妊娠悪阻の原因はわかっていません。

症状

何も食べられない状態がつづくと、からだが脂肪を分解し、老廃物であるケトン体がたまって口臭やめまいが生じます。また肝臓障害や黄疸、錯乱が起こることもあります。

さらに症状が悪化すると、ビタミンB1不足からウェルニッケ脳症を併発することがあります。これは意識障害や運動失調を伴うもので非常に危険な状態です。

吐き気や嘔吐がひどくて何も食べられず、妊娠前の体重から5%以上減った場合や尿の量が極端に減った場合、横になったまま起き上がれないくらい体調が悪い場合は、すぐに受診しましょう。

検査・診断

問診や血液検査、尿検査を行い、脱水の状態、ケトン体が陽性であるかないかなどを確認します。また、吐き気や嘔吐が異常に強い場合は胞状奇胎、多胎妊娠などによる症状かどうかを診断するために超音波検査を行います。

治療

妊娠悪阻とわかり、症状が重い場合は、口から食べたり飲んだりすることをやめ、入院して点滴治療を受けます。輸液には糖と、場合によっては電解質やビタミンも含まれています。また、吐き気をやわらげる薬剤が投与されることもあります。

セルフケア

療養中

つわりの場合は、食べられるものを食べる、少量をこまめに食べるなどのセルフケアが有効です。ただし妊娠悪阻が疑われるほど症状がひどい場合は、すぐに受診して医師の指示に従いましょう。

監修

JR東京総合病院 産婦人科医長

松浦宏美

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