子宮筋腫

しきゅうきんしゅ

最終編集日:2022/3/29

概要

子宮筋腫は、子宮を形づくっている平滑筋という筋肉にできる良性の腫瘍です。悪性化の頻度は低く、0.5%以下とされています。発生する場所によって、次の3つに分けられます。

●漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)

子宮の外側を覆う漿膜の下に発生し、子宮筋腫の10~20%を占めます。外側に増大するため、大きくなりやすいです。

●筋層内筋腫

子宮壁をつくる子宮筋層内に発生し、多発しやすい筋腫です。もっとも頻度が高く、約70%を占めます。

●粘膜下筋腫

子宮の内側を覆う子宮内膜の下に発生し、5~10%を占めます。子宮の内側に増大し、症状がもっとも重い筋腫です。


発症には女性ホルモンのエストロゲンがかかわっています。そのため、ほとんどの筋腫は閉経後に縮小します。


原因

筋腫の発生や増大にはエストロゲンが影響していますが、その原因はまだわかっていません。発症に関与する遺伝子はいくつか見つかっています。


症状

多くは無症状で、婦人科検診で初めて指摘されるケースも珍しくありません。筋腫が「大きい」「急に増大した」「症状が出やすい場所にある」場合には、以下のような症状が現れます。

●過多月経、過長月経、それに伴う貧血、月経困難症

大きくなった筋層内筋腫、粘膜下筋腫の場合に出やすく、粘膜下筋腫では、筋腫が小さい場合でも現れることがあります。

●月経痛

粘膜下筋腫で多くみられます。

●腹部にしこりを触れる

漿膜下筋腫の場合には筋腫が大きくなりやすいため、腹部のしこりで気づくことがあります。また、筋層内筋腫が多発して子宮全体が大きくなっている場合にも、しこりを触れることがあります。

●頻尿、排尿困難、便秘、腰痛

筋腫が大きくなって膀胱、大腸などの周辺臓器を圧迫するために起こります。

●不妊症

筋層内筋腫が大きい場合や、粘膜下筋腫では、筋腫によって子宮が変形してしまうことがあり、受精卵の着床にも影響することがあります。その場合は不妊の原因となる可能性があります。

●腹部の疼痛、冷や汗、嘔吐、意識障害、ショック症状

漿膜下筋腫で、筋腫の根元がねじれる「茎捻転」を起こすと、突然、これらの症状が起こり、救急搬送が必要になります。


子宮筋腫
子宮筋腫

検査・診断

問診、内診と超音波検査(経腟を含む)でおおよその診断がつけられます。必要に応じて、MRIなどを行います。

診断では、子宮肉腫(悪性のものが多い)や卵巣腫瘍、子宮腺筋症などとの鑑別が重要になります。


治療

無症状で筋腫がこぶしくらいの大きさまでなら、半年から1年に1度、定期的に筋腫の状態を経過観察します。無症状のまま閉経を迎えて筋腫が縮小し、治療が不要となるケースも珍しくありません。

積極的な治療が必要となるのは、筋腫が大きい、貧血や月経困難などの症状が強いなどの場合で、薬物療法や手術が考慮されます。症状や妊娠出産の希望、年齢などを考慮して治療法を選択します。


●薬物療法(薬による治療)

・対症療法

過多月経、過長月経、月経痛などの症状を改善するために行います。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)=疼痛改善、鉄剤=貧血改善などが使われます。

・ホルモン療法

LEP製剤(低エストロゲン・プロゲスチン配合薬)、プロゲスチン製剤、子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)による治療は、過多月経や月経困難症を改善します。

・偽閉経療法

エストロゲンの産生を抑えて筋腫を縮小させる治療です。月1回の注射薬、1日2回の点鼻薬、1日1回の経口薬があります。服薬中は無月経になること、卵巣機能が抑制されるために更年期障害のような症状が起こり得ること、骨量が減少すること、長期間の使用は認められておらず6カ月しか使えないことなどを理解して、治療に臨む必要があります。また、服薬を中止すると筋腫は再度増大し、症状も再燃します。


●手術

手術で筋腫を切除します。いくつかの方法があります。

・子宮全摘術

妊娠・出産の希望がない場合に子宮を全摘します。主流となっている腹腔鏡下手術のほかに、開腹手術、腟式子宮全摘術などの術式があります。

・子宮筋腫核出術

妊娠・出産の希望がある場合に行われる、筋腫の部分だけをくりぬく方法です。腹腔鏡、開腹があります。

・子宮鏡下子宮筋腫摘出術

粘膜下筋腫に適応します。子宮内に子宮鏡を挿入して筋腫を切除します。

・子宮鏡下子宮内膜焼灼術(MEA)

マイクロ波によって子宮内膜を焼灼・壊死させる方法です。症状の改善効果が見込めますが、筋腫自体は小さくなりません。また、妊娠・出産を望む場合には適応されません。

・子宮動脈塞栓術(UAE)

筋腫に栄養を送る動脈を遮断することで筋腫の増大を抑える方法です。鼠径部から血管内にカテーテルを挿入して、子宮動脈に塞栓物質を詰めて血流を遮断します。



セルフケア

予防

子宮筋腫を予防する効果的な方法はありません。何よりもまず、婦人科検診を定期的に受けて、子宮や卵巣に異常がないか確認しましょう。

監修

Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科

秋野なな

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