子宮内膜炎
しきゅうないまくえん

最終編集日:2022/3/29

概要

子宮内膜炎は、子宮の内側を覆っている内膜に炎症が起こる病気で、細菌感染によってひき起こされます。

急性と慢性があり、慢性子宮内膜炎の場合は粘膜の下の基底層という組織にまで炎症が広がり、自然治癒がむずかしくなります。慢性子宮内膜炎については、なぜ慢性化するのか、どのような人に起こりやすいのか、子宮内膜症との関係など、まだ不明な点が多く解明が待たれています。


原因

炎症をひき起こす原因菌として、大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、マイコプラズマなどがわかっています。細菌感染のきっかけは、タンポンが汚れていたり、長時間取り替えなかったりしたことなどが考えられます。また、性行為感染症のクラミジアや淋菌が原因となる場合もあります。

そのほか、子宮頸管が開いている産褥期、流産の後、人工妊娠中絶の後などにも細菌が入りやすくなります。産褥期に起こるものを「産褥子宮内膜炎」と呼びます。


症状

急性子宮内膜炎では、下腹部の痛み(ときに激痛)、不快感、腰痛、発熱、不正出血、うみのようなおりものなどの症状が現れます。

一方、慢性子宮内膜炎では、下腹部の痛みや不正出血があってもそれほど強くないため、ほかの病気の検査の際に指摘されることがあります。

さらに、慢性子宮内膜炎は不妊症の原因になる場合があります。流産をくり返すケースや、生殖補助医療でなかなか着床しないケースでは、一定の頻度で慢性子宮内膜炎が見つかるとされています。


子宮内膜炎
子宮内膜炎

検査・診断

問診、内診、子宮内膜の細胞診・細菌培養検査で診断します。

慢性子宮内膜炎を疑う場合には、特異的マーカーを用いた免疫組織染色で組織学的検査を行います(保険適用外)。


治療

多くは原因菌に合った抗菌薬の服用で改善されます。

慢性子宮内膜炎で第一選択となる抗菌薬の効果がみられない場合には、種類を変えて投与されます。細菌培養検査で原因菌が特定できないこともあり、治療が長引くケースもあります。

急性子宮膜炎では、月経の際に子宮内膜と一緒に細菌も排出されるため、自然に治癒することもあります。


セルフケア

予防

とくに月経時には清潔にすることを心がけましょう。下着は通気性のよいものを選びます。産褥子宮内膜炎の予防には、洗浄便座(ビデ)を用いるなどして、常に腟周辺を清潔に保つようにします。ただし、神経質になって洗いすぎるのは腟の自浄機能の低下を招くため、注意しましょう。

また、「症状」にあるように、慢性子宮内膜炎が不妊症に関与していることもあります。なかなか妊娠できないという場合には、慢性子宮内膜炎の可能性も考慮して、婦人科を受診しましょう。


監修

Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科

秋野なな

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