子宮下垂しきゅうかすい
最終編集日:2022/4/11
概要
子宮は尿をためる膀胱と便をためる直腸の間に位置しています。子宮下垂は、子宮が正常な位置から下降してしまった状態です。
軽度の場合は自覚症状がない人がほとんどで、治療を行う必要もありません。下垂の状態が進むと腟内の圧迫感や腹痛、腰痛、便秘や頻尿、尿失禁、排尿困難などの症状がみられます。
さらに進行すると、子宮の一部または全体が腟外にはみ出てしまう子宮脱や、子宮の周囲にある膀胱、直腸、尿道などの臓器も一緒に下降してしまう膀胱瘤、直腸瘤、尿道脱、小腸脱など骨盤臓器脱と呼ばれる状態になります。
原因
子宮下垂は、骨盤内の臓器を支える骨盤底筋群の力が弱くなることが原因で起こります。
加齢が要因となるほか、妊娠・出産の経験のある人や肥満の人、長時間の立ち仕事をする人に多くみられます。
症状
子宮下垂が軽度の場合は自覚症状がほとんどないため、多くは婦人科検診などで指摘されて発見されます。
下垂が進むと、下腹部の違和感や腹痛、腰痛、便秘、頻尿、尿失禁などが起き、さらに重いものを持ったときや排尿・排便時、入浴時などに、何かが腟を圧迫する感覚を覚えることがあります。
さらに子宮と一緒に膀胱や直腸も下がった場合には、排尿障害や排便の困難がみられることがあります。
検査・診断
おもに問診と内診で診断が行われます。症状とともに妊娠・出産歴、生活習慣の確認をし、触診や内診によって腟の状態を確認します。
さらに腹圧を加え子宮脱がないかを調べます。そのほか、MRIやCTなどの画像検査、超音波検査などが行われることがあります。
治療
子宮下垂が軽度であれば、骨盤底筋体操を行って骨盤内の臓器を支える筋肉を鍛えることで症状の改善が期待できます。
手術をせずに、腟内にリング状のペッサリーを挿入し、子宮などの内臓を押し上げる方法もあります。
子宮脱や骨盤臓器脱に進行した場合には、ポリプロピレン素材のメッシュを腟の後方に入れ、ハンモックのように下垂した臓器を支えて治療する骨盤内臓器脱メッシュ修復術(TVM手術)が多く行われています。
セルフケア
療養中
子宮下垂は、定期的に婦人科検診を受けて早期に発見し、まだ症状が軽い段階で適切なケアを行えば症状の進行を防ぐことができます。骨盤底の筋肉を鍛える骨盤底筋体操は子宮の下降を予防し、下腹部の違和感や腹痛、腰痛、便秘、軽度の尿もれ、頻尿などの症状が改善する効果が認められています。尿道、肛門、腟を締めてゆるめるという運動を、あお向け、座位、四つんばいなどの姿勢でくり返し行います。
また、肥満や便秘は日常的に骨盤底筋に圧力をかけるため、肥満の人は減量し、便秘の人は排便サイクルを整えるようにすることも大切です。
監修
Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科
秋野なな
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