絨毛性疾患

じゅうもうせいしっかん

最終編集日:2022/3/29

概要

絨毛細胞(胎盤栄養膜細胞)は、受精が成立するとつくられる“胎盤”を形成する細胞です。絨毛性疾患とは、何らかの原因があって絨毛細胞が異常に増殖する疾患で、臨床的な分類としておもに次の3つがあります。


●胞状奇胎(部分胞状奇胎、全胞状奇胎)

受精卵に異常がみられる異常妊娠のひとつです。1年に約2千例が発症し、1千出生あたり2~3例の頻度です。

部分胞状奇胎は男性側の精子2個+女性側の卵子1個から生じたもの、全胞状奇胎は卵子の核が消失して精子の核のみから生じたものを指します。

●侵入胞状奇胎

胞状奇胎で増殖した絨毛細胞が子宮の筋層に侵入したもので、絨毛性腫瘍のひとつとして考えられています。部分胞状奇胎の2~4%、全胞状奇胎の10~20%に起こるとされ、肺転移しやすいという特徴をもっています。

●絨毛がん

全胞状奇胎の1~2%に起こりますが、絨毛性疾患のない妊娠・分娩・流産にも発生するリスクがあります。10万出生のうち4~5例と、発症頻度は高くありません。血行性に肺、脳、肝臓などに転移しやすいとされています。


原因

絨毛性疾患の原因は、まだ明らかになっていません。

40歳以上の妊娠で、胞状奇胎の発症リスクが高くなるとされています。遺伝性はないと考えられています。


(左)正常妊娠と(右)胞状奇胎
(左)正常妊娠と(右)胞状奇胎

症状

まれに、つわりのような吐き気、出血、腰痛などをみることがありますが、通常、症状がないケースが多く、妊婦健診の超音波検査で指摘されることがほとんどです。

検査・診断

経腟超音波検査と、血液検査あるいは尿検査でhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)値を測定して診断します。hCGは妊娠週数によって基準値が定められていますが、絨毛性疾患があると高い値を示します。

治療

胞状奇胎の治療は、胞状奇胎除去術(子宮内容除去術)という手術が基本になります。子宮から病変を経腟的に掻爬(そうは:かき出す)するもので、掻爬後に組織学的検査をすることで確定診断とします。1回目の手術から1週間後を目安に、2回目の再掻爬術を行い、子宮内に病変の残存がないことを確認します。

侵入胞状奇胎や絨毛がんの治療は、抗がん剤による化学療法が中心になります。いずれも転移を起こしやすいため、手術が適応されることはあまりありません。化学療法の奏功率(治療後にがん細胞が縮小や消滅した割合)は90%とされ、治癒の可能性の高い腫瘍といえます。


●術後管理

胞状奇胎では術後の経過観察・管理が重要で、病変の完全消失(hCG値の正常化)までを1次管理、続発するリスクのある侵入胞状奇胎、絨毛がんの早期発見・治療を目的とする2次管理に分けられています。

1次管理は、1~2週間ごとにhCG値を測定し、基準値を上回っていたら侵入胞状奇胎を疑って精査します。侵入胞状奇胎は1次管理中に発症することが多いため、注意が必要です。術後6カ月後までhCG値に上昇がなければ、2次管理としてhCG値の測定を、3カ月ごとに3~5年間つづけます。

妊娠・出産を望む場合、部分胞状奇胎では6カ月間、全胞状奇胎では6カ月~1年間避妊する必要があります。1年後に再発の兆候がなければ妊娠を許可されることが多いです。


セルフケア

病後

胞状奇胎はいわば突発的に発症するもので、きちんと治療すれば、次の妊娠への影響はほとんどなく、また、遺伝性のある疾患でもありません。侵入胞状奇胎や絨毛がんへの進展を防ぐために、早期発見・早期治療、術後の管理をしっかり行うことが重要です。

監修

Raffles Medical Clinic Hanoi 婦人科

秋野なな

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