リウマチ熱

りうまちねつ

最終編集日:2023/11/9

概要

リウマチ熱は、のどや扁桃腺に溶連菌(A型溶血性連鎖球菌)による感染が起きた後、菌体成分に対する免疫反応により、およそ2~4週間後に続発する発熱、関節炎、心筋や皮膚の症状、神経系の病状がみられる疾患です。5~15歳に好発し、3歳未満や成人ではまれです。全世界で毎年約47万人が新規に発症し、約27.5万人が腎不全やリウマチ性心疾患で死亡しているといわれています。

抗菌薬の進歩・普及で、溶連菌感染症をしっかり治療できるようになったことから、国内の患者数は1年あたり数例と非常に低くなっています。しかし世界的にみると、医療的な開発途上国では発症率は高いため、海外赴任などの環境下では注意が必要です。

原因

溶連菌感染後の過剰な免疫反応がさまざまな部位に炎症を起こします。その理由はわかっていません。

溶連菌感染による咽頭炎、扁桃炎、猩紅熱(しょうこうねつ)にのみ、合併します。溶連菌は皮膚にも感染症を起こしますが(伝染性膿痂疹〈でんせんせいのうかしん:とびひ〉など)、皮膚の感染症ではリウマチ熱は合併しません。

症状

溶連菌感染後、2~4週間経ってから高熱、関節痛、関節の腫れが突然現れます。関節痛の頻度は高く(約70%)、ひざ、ひじ、足首、手首などが強く痛み、痛む部位が移動する「移動性関節炎」を現します。まれに皮膚に輪のような紅斑や、硬いしこりが現れたり消えたりします。この段階で治療を開始しないと、50~60%で心臓にも炎症が起こります。

心臓に炎症が広がると、胸痛や動悸、むくみ、倦怠感が起きてきます。高熱や関節痛が起きてから1~2週間以内のことが多いようです。炎症は心筋、心内膜、弁など心臓全体に起こり、とくに僧帽弁や大動脈弁など、弁に炎症が起こると、心不全症状(息切れ・呼吸困難、強い倦怠感、強いむくみ、乾いたせきなど)が現れ、全身状態は非常に悪くなります。

また、神経系に炎症が及ぶと、意思と関係なく筋肉が動く「不随意運動」がみられる場合もあります(舞踏病)。一般的にほかの症状が治まってから起こり、数カ月にわたってつづくこともあります。

検査・診断

問診時に、溶連菌感染の既往を確認します。血液検査で細菌感染を示すC反応性たんぱく(血中CRP)濃度や溶連菌抗体を検出し、さらに、のどのぬぐい液から溶連菌の特定を行います。聴診で心臓の炎症による心雑音の有無を確認します。さらに心電図検査や心臓超音波(心エコー)検査で心臓の状態を精査します。

溶連菌以外の細菌やウイルス感染症でも強い関節炎がみられる場合があるため、鑑別が必要です。

治療

治療は、①急性の溶連菌感染症に対する治療(一次予防)、②リウマチ熱に対する治療、③二次予防、の3つの段階で考えます。

① まず、急性の溶連菌の感染症によって、リウマチ熱などをひきおこす自己反応性の抗体などが誘導される恐れがあるので、早期の適切な抗菌薬投与による除菌で抗体が誘導される機会を減らします。無治療の場合は約3%でリウマチ熱を発症するといわれています。一次予防として、咽頭痛などの発症後9日以内に、おもにペニシリン系抗菌薬を内服することが推奨されています。除菌のためには十分な量と投与期間が必要であり、症状が消失したからといって服薬を中断しないようにします。


② 関節の痛みが強い場合には、アスピリンが第一選択と考えられています。また非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)を用いることもあります。治療期間は臨床症状と炎症マーカー(CRPなど)によって検討しますが、多くの場合は1~2週間必要です。ほとんどの場合、6週間以内に改善します。炎症が心臓に及んでいる場合には、安静のうえ、心エコーなどで心臓の評価を行います。利尿薬や水分摂取制限などを行い、重症の場合には、ステロイドの内服、あるいは点滴が行われます。舞踏病症状については、通常は2~3カ月で自然軽快することが多いです。薬物療法として、ハロペリドールやバルプロ酸やカルバマゼピンなどを用います。


③ WHO(世界保健機関)の定義では「リウマチ熱の二次予防とは、リウマチ熱の既往やリウマチ性心疾患の患者に対して、継続的に特定の抗菌薬を投与すること、その目的は溶連菌の感染症を防ぎ、リウマチ熱の再燃を防ぐこと」とされています。リウマチ熱を発症すると、次に溶連菌感染が起きたときに約30%はリウマチ熱を再発するといわれています。また、初回のリウマチ熱の発症で心臓弁膜症を起こしている場合では、リウマチ熱の再発で弁膜症が進行することもわかっています。そのため、溶連菌の再感染を予防する抗菌薬(通常はペニシリン)の予防的投与がすすめられています。心臓の炎症が起こらなかった場合は、発症から5年または21歳まで、心臓の炎症はあっても弁膜症にならなかった場合は、10年または21歳まで、弁膜症になった場合は、10年または40歳まで、あるいは一生飲みつづけることが推奨されています。

セルフケア

予防

リウマチ熱の炎症が心臓の弁に及んだ場合、中年期以降の心房細動や心不全のリスクが高くなることがわかっています。

日本では、のどや扁桃腺への溶連菌感染症は、処方された抗菌薬を服用すれば1~2日で症状が改善されます。しかし、症状がなくなったからといってその時点で服薬をやめるのではなく、処方された量は必ず飲み切りましょう。溶連菌感染症の治療が不十分な場合に、リウマチ熱の発症のリスクが残るからです。

リウマチ熱は一度発症すると、再発や合併症などで長期間にわたって治療が必要になる病気です。何よりもまず、溶連菌感染症を予防すること、溶連菌感染症になったらきちんと治療することが第一です。

監修

医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長

富田益臣

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