多発性筋炎・皮膚筋炎
たはつせいきんえん・ひふきんえん

最終編集日:2021/12/21

概要

全身の筋肉や皮膚に慢性の炎症が現れる病気で、筋肉だけに症状が現れる多発性筋炎と、皮膚にも特有の発疹が現れる皮膚筋炎があります。2つの病気が重複して起こるケースもあるため、総称して多発性筋炎・皮膚筋炎と呼んでいます。

皮膚や内臓の組織、血管などに炎症を起こす病気である膠原病のひとつで、原因はわかっていません。

中高年および女性に多く発症する傾向がみられます。まれな病気と思われがちですが、日本では年間1000〜2000人ほどの新規患者が生まれています。

多発性筋炎および皮膚筋炎は国の難病に指定されているので、医療費の補助を受けることができます。

原因

筋肉や皮膚を自己免疫が攻撃することで発症する病気ですが、明確な原因はわかっていません。免疫機能の異常、ウイルス感染、悪性腫瘍、薬剤の影響、遺伝的要素などが発症原因と考えられています。

症状

筋肉に炎症が起こることで、腕や足、首などの筋力低下と痛みが現れます。具体的には腕が上がらない、重い物が持てない、椅子などから立ち上がったり階段を上がったりするのがつらい、枕から頭をもち上げにくいなどです。

特徴的な皮膚症状には、上まぶたにうす紫色の発疹ができるヘリオトロープ疹、手指関節の背側にガサガサとした赤い盛り上がりができるゴットロン徴候などがあります。寒くなると手指や足指が白く冷たくなるレイノー現象が起きることもあります。

ほかにも倦怠感、疲労感、食欲不振、発熱などの全身症状が現れることもあります。

2~3割には悪性腫瘍(がん)を合併することや、進行すると間質性肺炎の併発も起こるので注意が必要です。

検査・診断

筋力検査で筋力の低下度合いを、また視診、触診で特徴的なヘリオトロープ疹やゴットロン徴候の有無を確認します。

ほかにも血液検査、CT検査、MRI検査などを行います。確定診断のために、筋電図検査、筋肉と皮膚の生検を行います。症状によっては間質性肺炎や悪性腫瘍の有無を調べることもあります。


治療

おもに副腎皮質ステロイド薬による薬物治療が行われます。

ステロイド薬による治療で効果がみられない場合は、免疫抑制剤を併用した治療が行われます。

セルフケア

療養中

多発性筋炎・皮膚筋炎の治療中は安静が必要です。激しい運動は筋疾患を悪化させる可能性があります。ある程度治療効果がみられてから、徐々に軽いリハビリを行っていくようにしましょう。また皮膚に症状が出ている場合は、強い太陽光線を浴びない工夫をしましょう。間質性肺炎を伴うと致死率が高くなるので、注意しなくてはなりません。

監修

寺下医学事務所医学博士

寺下謙三

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