自己免疫疾患
じこめんえきしっかん

最終編集日:2022/3/30

概要

私たちの周りにはウイルスや細菌などの病原体や、さまざまな有害な物質があり、こうしたものからからだを守っているのが、体の免疫機能です。

自己免疫疾患ではこの免疫機能に異常が起こり、本来なら異物とはみなされない自身の組織に対して、リンパ球や自己抗体がつくられます。自身の免疫機能によって組織が攻撃を受けてしまう病気が自己免疫疾患です。

代表的な自己免疫疾患には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病、甲状腺中毒症(甲状腺機能亢進症:バセドウ病)や慢性甲状腺炎(橋本病)などの内分泌疾患、潰瘍性大腸炎クローン病などの消化器疾患があります。


原因

自己免疫疾患では、“なぜ自分の組織を攻撃してしまうか”などのメカニズムが十分解明されていない病気が多いものの、発病には遺伝的要因のほか、ウイルスや細菌などによる感染症や、薬剤、ストレスなどが関与していることを示唆する研究結果もあります。

症状

発症した病気や部位によって症状は異なります。一部の組織や臓器だけに異常が現れるケースもあれば、全身に症状が現れるケースもあります。

痛み、発熱、関節の変形、腫れ、かゆみ、脱力感、呼吸困難などさまざまな症状があります。


検査・診断

問診、視診、触診などで症状を確認し、自己免疫疾患が疑われる場合には、通常の採血検査や採尿検査に加えて、疑われる自己免疫疾患で認められることの多い自己抗体のチェックなどを行います。X線検査、超音波検査、CT検査などの画像検査が行われる場合もあります。

治療

治療はおもに薬による治療が行われます。病気により、臓器の炎症を抑える抗炎症剤や、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド剤)、免疫抑制剤、生物学的製剤などが使われます。

セルフケア

療養中

副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤といった薬剤は、ウイルスや細菌に対する抵抗力を下低下させますので、治療中は手洗い、マスク、うがいなどの感染予防をしっかりと行いましょう。

病気によって対策も異なるため、主治医とよく相談しましょう。


監修

東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授

川田浩志

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