血管炎けっかんえん
最終編集日:2022/4/11
概要
血管炎は、全身にくまなく走行する血管に炎症が発生し、さまざまな組織や臓器に障害が起こる疾患の総称です。血管炎症候群、全身性血管炎とも呼ばれます。
炎症を起こす血管の太さから分類され、大型血管(大動脈とその太い枝)に炎症を起こす疾患として高安動脈炎、巨細胞性動脈炎が、中型血管に炎症を起こす疾患として結節性多発動脈炎、川崎病が、小型血管に炎症を起こす疾患として抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、免疫複合体性小型血管炎があります。
血管の炎症によって血管が破れたり、血管内腔が狭くなったり、閉塞したりして、さまざまな臓器や組織に大きな影響を与えます。
原因
血管炎の多くは、原因不明の原発性の血管炎で、免疫系の細胞が誤って自分の血管を異物と認識して攻撃するために炎症が起こると考えられています。また、細菌や肝炎ウイルスなどによる感染症や、毒性物質、薬などが原因となることもあり、その場合は二次性の血管炎といいます。
症状
炎症が起こった血管のある場所によって、さまざまな症状が出現します。
皮膚に起こると出血やあざなどがみられ、関節に起こると痛みや腫れが出現します。末梢神経に起こると手足のしびれやチクチク感、筋力低下などが現れ、消化管に起こると腹痛や血便などがみられます。
また、脳の血管に血管炎が起こると脳出血や脳梗塞を起こしたり、心臓に起こると狭心症や心筋梗塞を発症したりして、命にかかわることもあります。
検査・診断
問診、視診、触診などの診察によって症状や身体所見を確認した後、血液検査や尿検査が行われます。異常が起きている臓器から組織の一部を採取(生検)して、顕微鏡を使って血管炎が起きていないか調べます。症状や発症部位などに応じて、超音波検査、CT検査、MRI検査、血管造影検査などが行われることもあります。
治療
原因がわかっている場合は、その治療を行います。また、薬剤が原因の場合は服用を中止します。
原因がわからない原発性の血管炎の治療では、自己の免疫が血管に影響を与えないようにする目的で、副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)や免疫抑制剤などの薬物療法が行われます。
セルフケア
療養中
副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤などによる治療中は、免疫機能が低下しているので、感染症に十分注意することが重要です。手洗い、マスク、うがいなどの感染予防とともに、十分な休息、栄養バランスのとれた食生活、ストレスの少ない生活などを心がけましょう。
監修
東海
川田浩志
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