シェーグレン症候群
しぇーぐれんしょうこうぐん

最終編集日:2023/11/6

概要

シェーグレン症候群(SS)は、慢性の唾液腺炎と乾燥性の角結膜炎をおもな症状として、ドライアイ、ドライマウス、多関節痛をきたす全身性の疾患です。ほかの膠原病関節リウマチ全身性エリテマトーデスなど)の合併のない「一次性SS」と、合併のある「二次性SS」に分けられます。さらに一次性SSは、病変が唾液腺・涙腺のみに限られる「腺型SS」と、全身の臓器に現れる「腺外型SS」に分けられます。

厚生労働省の疫学調査結果(2010年)では、患者数は6万6000人と報告されています。欧米では日本の有病率の約10倍といわれています。日本では50~60代の女性に好発し、男女比は1:17.4となっています。約6割が一次性SSで、腺型SSが約70%を占めます。SSは厚生労働省の指定難病となっています。

原因

発症機序は、何らかの誘因により、自分の組織を異物として捉えて攻撃する「自己免疫疾患」のひとつと考えられており、原因はまだ明らかになっていません。

症状

涙腺が炎症を起こすため、目の乾燥によるドライアイ、唾液腺の炎症によるドライマウス、関節痛が3大主徴です。

ドライアイでは、目のごろごろ感・違和感、涙が出ない、充血、目の疲れ、目の熱感などが現れます。ドライマウスでは、口内の乾燥感、唾液が出ない、痛み、口内がねばねばする、飲水量が増える、舌や唇が荒れるなどの症状が現れます。ドライマウスがつづくと、唾液の自浄作用が低下するため、急激にむし歯が増えます。

目や口腔だけでなく、気道や皮膚にも乾燥症状が現れ、乾性のせき、皮膚乾燥、腟乾燥なども起こります。

腺外型SSでは、関節痛(30~50%)、リンパ節腫脹(約30%)、発熱(10~30%)、倦怠感、紅斑、レイノー現象(寒さ・冷たさによって手指などの細動脈が狭窄して指の色が白くなる、しびれる、チクチク痛むなどが現れる)などがみられます。さらに症状は全身に及び、間質性肺炎、間質性腎炎、多発神経炎、多発性脳梗塞、関節炎、食道炎、白血球減少症など、さまざまな疾患を併発します。

検査・診断

血液検査で貧血や肝機能、腎機能など、一般的な全身状態を確認するとともに、免疫学的検査で、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、抗核抗体などを調べます。抗SS-A抗体はほかの膠原病でも陽性になりますが、抗SS-B抗体はSSの特異性が高いとされています。

症状の強さをみるために、唾液分泌量測定、涙液分泌量測定を行います。唾液分泌量測定には、ガムテスト(ガムを10分間かんで出た唾液量を測定。10mL以下は唾液分泌量低下とされる)や、サクソンテスト(ガーゼを2分間かんだ後、重さを測る。増加した重さが2g以下は唾液分泌量低下とされる)などがあります。涙液分泌量測定ではシルマーテスト(シルマー試験紙を下のまぶたに付けて垂らし、ぬれた長さを測る。5㎜以下で涙液分泌量低下、5~10㎜で境界域とされる)が行われます。また、角結膜上皮の状態を評価するために、角結膜の染色検査を行います。


さらに唾液腺の超音波(エコー)検査、MRI検査、シンチグラフィなどでリンパ球浸潤(組織に染み込むように侵入する)の有無を確認します。また、口唇腺という部分の組織を採取し、リンパ球浸潤の程度をみる「口唇腺生検」も確定診断に有効です。

診断には「厚生省改訂診断基準(1999年)」が用いられます。全身性エリテマトーデスや関節リウマチなどのほかの自己免疫疾患や、IgG4関連疾患などとの鑑別診断が重要です。また、SSは悪性リンパ腫を合併することが多いため、合併の有無も慎重に調べられます。

治療

●腺型SS

ドライアイやドライマウスに対しては、QOL(生活の質)の改善をめざした対症療法が中心となります。ドライアイ改善の点眼薬(ムチン分泌促進薬、人工涙液など)を用います。涙液がほとんど分泌されない場合では、涙点プラグを入れる、あるいは涙点焼灼術で涙液の鼻への流出を抑えます。

ドライマウスには、人工唾液や口腔湿潤薬、唾液分泌促進薬を用います。漢方薬の麦門冬湯(ばくもんどうとう:のどの乾燥感や乾性のせきの改善作用がある)を服用することもあります。加えて、口腔内の菌の繁殖やむし歯を予防するために、清潔を保つ指導が行われます。唾液分泌促進薬は副作用が強いことがあるため、少量から開始するなど、注意が必要です。そのほか、皮膚の乾燥には湿潤薬を、腟の乾燥には軟膏を用います。


●腺外型SS

症状の強さや臓器の障害の程度をみて治療が進められます。

発熱や倦怠感、リンパ節腫脹、関節痛などが中心の軽度な腺外症状であれば、解熱鎮痛薬やステロイド内服が用いられます。

障害が肺、腎臓、中枢神経に及んでいる場合は、ステロイド、免疫抑制薬などを内服、あるいは注射で投与します。重症の場合は、ステロイドを短期間に集中して投与する「ステロイドパルス療法」を行います。


また、新しい治療戦略として、SSの発症機序にT細胞やB細胞などのリンパ球が関与していることが明らかになり、B細胞標的治療(リツキシマブ)やT細胞標的治療(アバタセプト)などの有用性が明らかになり、今後の応用が期待されています。

セルフケア

療養中

SSは慢性に経過するため、寛解(完治はしていないが症状をコントロールできている状態)を保つことが治療の目的になります。点眼薬や人工唾液などを上手に使って症状の軽減を図りましょう。むし歯を増やさないために、口腔ケアをつづけることも重要です。

SSの約70%は腺型SSで推移し、10年ほどの単位で症状が強くなったり、ほかの症状が現れる人は約30%とされています。症状に変化がみられたら、早めに主治医に相談するようにしましょう。

監修

医療法人青泉会下北沢病院 糖尿病センター長

富田益臣

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