ベーチェット病
べーちぇっとびょう

最終編集日:2022/4/15

概要

ベーチェット病は、全身にくり返し炎症が起きる原因不明の病気です。口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、目の症状の4つの主症状に加えて、副症状として関節炎、腸管病変、精巣上体炎、血管炎、中枢神経病変などがみられます。

トルコのイスタンブール大学のフルス・ベーチェット教授が初めて報告したため、ベーチェット病と呼ばれています。

なお、ベーチェット病は、厚生労働省が定める指定難病となっており、重症度により医療助成の対象となります。


原因

ベーチェット病の原因は現在のところ明らかになっていません。病気になりやすい遺伝的な要因に、ウイルスや細菌などの微生物、ストレスや喫煙などの生活習慣といった環境的な要因が加わることによって発症するのではといわれています。

症状

ベーチェット病では、口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部(男性では陰茎から陰嚢、女性では外陰部から腟内)の潰瘍、皮膚症状、目の症状の4つが主症状として出現します。さらに副症状として、関節炎、腸の潰瘍による腹痛や下痢・血便、精巣上体炎、血管炎、頭痛、手足の麻痺や感覚異常などが起こることもあります。

主症状は、すべてそろって現れるわけではなく個人差があります。それぞれの症状がくり返し起こるのが特徴です。


検査・診断

ベーチェット病は膠原病の一種ですが、病気に特徴的な自己抗体は存在しません。そのため上述の主症状や副症状の有無を、診察とともにさまざまな検査を行って確認し、診断します。

また、皮膚は刺激に対して敏感になっていて、採血検査などで針を刺した部位が赤く腫れ上がってうみを形成することがあり(これを針反応陽性といいます)、診断の参考所見となります。


治療

炎症を抑えるために非ステロイド系消炎鎮痛剤やコルヒチンなどの内服を行います。ぶどう膜炎に対しては点眼薬のほか、免疫抑制剤の内服を行います。さらに、新しい治療法である生物学的製剤が使用されることもあります。

セルフケア

療養中

ベーチェット病は、ストレスや疲労、からだの冷えなどが症状の出現や悪化につながることがありますので、ストレスの軽減などに努めることが大切です。さらに、皮膚が刺激に対して過敏になっていて、炎症を起こしやすい状態になっていることもあり、物理的な刺激を避けることも大切です。

ほとんどすべての患者さんに現れる口腔粘膜のアフタ性潰瘍は、口腔内環境の乱れによって悪化する可能性がありますので、口腔内を清潔に保ち、定期的に歯科検診を受けることが重要です。また喫煙は口内環境を悪化させるだけでなく、中枢神経症状との関係も指摘されているので、禁煙することをおすすめします。


監修

東海大学 医学部血液腫瘍内科 教授

川田浩志

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