高齢期の心身の変化

最終編集日:2022/3/30

人は中年期を迎えると、白髪やシミ、老眼、運動機能の低下、さらに物忘れ、気力の減退など、心身面において、今後の生活に大きな影響を与える変化が訪れます。
からだの変化には、髪の毛や肌など審美面での変化と、体力・持久力やバランス能力、柔軟性など身体機能的な変化があります。
こころや精神面での変化には個人差があり、すべての人にあてはまることではありませんが、頑固になる、保守的になる、他人の意見を受け入れることができなくなるなどの性格的な変化とともに、認知機能の面での低下が起こります。認知機能とは、記憶、理解、計算、学習、言語、そして判断などで、若いころとくらべての機能低下は仕方がないことです。
さらに“ライフイベント”と呼ばれる、これからの人生に大きな影響を与えるできごと(イベント)が起こります。若い頃もさまざまなライフイベントがありますが、年をとると、個人差はあるものの共通したライフイベントを迎えるようになります。例えば子どもの独立による親の役割の終了、更年期、定年、配偶者や友人との死別、そして施設や病院などへの入所・入院などです。
だれもが直面することですが、高齢になってからのライフイベントは多くの喪失感を伴います。


“人生100年時代”をこころもからだも健康で過ごすためには、加齢によるさまざまな変化をネガティブにとらえるのではなく、ポジティブにとらえ前向きに日々の生活を送っていくことが大切です。


ポジティブに生きるためには、まず高齢になると心身にどんな変化が起きるのかを知っておくこと、そして元気なうちに対策を講じて、運動習慣、食習慣などに関する健康対策を知っておくことが重要となります。
もしも介護が必要になったときでも、高齢者を社会全体で支える仕組みのひとつに「介護保険制度」があります。年をとることを恐れず、心身ともに健康な日々を送っていきましょう。

健康寿命を延ばす

以前は「寿命」というと何歳まで生きることができるか、つまり「平均寿命」を注視していましたが、最近は「健康寿命」が重要と考えられています。
健康寿命とは周囲の協力を得ながらも、心身ともに自立して生きることができる期間のことです。「病気を患っていない期間」、そして「介護を受けず自立して生活している期間」のことです。厚生労働省の調査(『令和2年版厚生労働白書』より)によると、平均寿命と健康寿命の間には男性で約9年、女性で約12年の差があります。
医療技術や社会体制の充実などで平均寿命は延びていくと思われます。今後も健康寿命との差が拡大していくことになれば、人生の充実感や幸福感を大きく損なうことになるだけでなく、医療費や介護費などの増加が予測され、それに伴う社会保障費の増加は今後の社会体制にも大きな影響を与えかねません。
国立がん研究センターなどの国の機関が、日本人の健康寿命を延ばすためのポイントを発表しています。
そのポイントは、「喫煙者は禁煙をする」「飲酒は適量にする」「バランスのよい食生活をする」「適正体重を維持する」「活発な身体活動を行う」「過度なストレスを避ける」「感染症に注意する」「健康診断と口腔ケアを忘れない」などです。
人はだれもが健康で活動的な日々を過ごしていきたいと考えています。そのためにも健康寿命を延ばすことはとても大切です。

監修

あしかりクリニック院長

芦刈伊世子

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