便秘

最終編集日:2022/3/30

便秘とは3日以上排便がなく1日の便の量が非常に少ない状態のことです。ただし、高齢者は食事の量が減るケースが多いため、回数や量だけでは便秘と判断するのはむずかしいといえます。快適に排便ができない状態がつづいた場合は便秘を疑います。便秘は女性に多い症状と思われがちですが、高齢になると男性も増加傾向にあります。
便秘はからだだけでなくこころにもストレスを与え、QOL(生活の質)を低下させることがわかっています。便秘がつづくと食欲不振になったり倦怠感に悩まされたりすることが増え、集中力の低下やイライラが募り、精神的に不安定になることもあります。重篤化すると腸閉塞などの重い病気をひき起こすこともあります。

原因

高齢者の便秘のおもな原因は、加齢による食事量や身体活動の減少、生理機能の低下が原因と考えられています。
高齢者は食事量が減るとともに、のどの渇きを感じにくくなるため水分の摂取量も減少します。そのため腸内の便量が減るとともに、水分不足で便が硬くなり便秘になりやすいのです。
便を排出するためにはいきむ動作が必要になります。加齢により筋力が低下し、いきむ際に必要な腹圧が弱くなることで、排出が困難になってしまうのです。
このように複数の要因が重なって起こります。

症状・影響

おもな症状は、下腹部の不快感、膨満感、腹痛、吐き気、嘔吐などです。

治療

運動療法や食生活の改善など生活習慣を見直すことが大切です。もし便秘の原因がなにか別の病気の場合はその治療を行います。
また、薬剤性の場合もありますので、服用している薬の副作用が考えられるかどうか、かかりつけの医師に相談してみましょう。
こうした対処で改善が認められない場合は、医師の指示のもと下剤などの薬物療法(薬による治療)が行われます。

セルフケア

毎日の生活習慣に排便を組み込みます。便意がなくても毎朝同じ時間にトイレに行く習慣をつけましょう。温水が出る便座を利用して、排便前に肛門マッサージを行うのも効果が期待できます。
そして、適度な運動を毎日、継続することを心がけます。運動によって、腸の活動が活発になり、排便に必要な筋力を維持することもできます。
食生活では、1日3食をきちんととります。とくに朝食は腸を刺激して排便を促してくれます。また、水分を十分にとる、食物繊維を多くとる、小麦粉を原料とする食品を減らす、適度に油を使った食事を取り入れる、十分な食事量を確保することなどがセルフケアとなります。
生活習慣の改善を行っても重度の便秘がつづく場合は、医療機関を受診して医師の診察を受けることが大切です。

監修

あしかりクリニック院長

芦刈伊世子

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