視力、聴力の衰え

最終編集日:2022/3/30

視力や聴力の衰えはほぼすべての高齢者が経験する老化現象ですが、なかには進行性の疾患が原因であるケースもあります。
何が原因で見えにくいのか、聞こえにくいのかをきちんと検査し、原因に応じた対策をとることが重要です。
また、聴力が低下した状態を放置すると、認知症になりやすいといわれているので注意が必要です。

原因

加齢に伴う視力障害のひとつに、近くのものが見えにくくなる「老眼(老視)」があります。老眼は高齢者のほぼすべてにみられる病気で、原因は目のピント調節機能の衰えです。これは老眼鏡の使用などによって、視力をカバーすることができますが、老眼とともに高齢者に多くみられるのが白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの、失明につながりかねない疾患です。
また聴力障害も多くの高齢者が経験します。俗にいう「耳が遠い」状態を「老人性難聴」といいます。原因として、耳のなかにある音を伝える細胞が加齢とともに減少することや、音を脳に伝える神経の働きが鈍ることなどが挙げられます。

症状・影響

目が疲れる、目がかすむ、細かい文字が見えない、暗い場所でものが見えにくい、などは老眼の症状です。
白内障では目の水晶体が白く濁るとともに、視力の低下、光がまぶしい、などの症状が現れます。
緑内障では徐々に視野が狭くなり、加齢黄斑変性では視野の中心が欠ける、暗くなる、ものがゆがんで見えるなどの症状が現れます。網膜剥離は、キラキラとした小さなかけらがたくさん見える光視症や、黒いすすが飛んでいるように見える飛蚊症の前兆が起こることもあります。
老人性難聴では、高音域の音が聞こえにくい、音が割れて聞こえる、早口で話されると理解が追いつかない、などの症状が現れます。

治療

白内障の治療は手術が一般的で、濁った水晶体を取り除くとともに人工水晶体である眼内レンズを挿入します。これは比較的簡単な手術で、ほとんどの人が正常な視力を取り戻すことができます。白内障を長く放っておくと重症化するので、眼科専門医に手術の時期を相談するとよいでしょう。
緑内障では視神経の障害を進行させないための点眼薬治療が行われ、進行した場合には手術が検討されます。
加齢黄斑変性では原因となっている新生血管を破壊するためのレーザー治療などが行われますが、緑内障と加齢黄斑変性は難治性のため、進行を食い止めるための治療が中心となります。
また老人性難聴にも根本的な治療法はありません。補聴器や人工内耳を使って耳の機能を補う対症療法を行うのが一般的です。

セルフケア

まず視力や聴力に違和感をもったら医療機関で検査を受け、医師の指示に従って適切な対処法をとりましょう。
障害が軽度であれば、眼鏡や目薬、補聴器などを使用することで衰えをカバーできます。長時間のスマホ使用や細かい作業、騒音下で過ごすなど、目や耳に負担をかける行動を避け、十分な休息と栄養をとることも大切です。
目の健康に役立つビタミン類やルティンなどを豊富に含む食品を積極的にとり、神経伝達機能や血流を改善するために適度な運動を行いましょう。

監修

あしかりクリニック院長

芦刈伊世子

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