不眠

最終編集日:2022/3/30

加齢とともに足腰が弱ったり目や耳が悪くなったりするのと同様に、睡眠にも変化が起こります。睡眠時間が短くなる、早朝に目が覚める、眠りが浅くなる、などは老化現象であることがほとんどのため、過度に心配する必要はありません。

原因

高齢になると、若い頃には夜型だった人でも早寝早起きをするようになります。これは体内時計を支えている生体機能のリズムが加齢によって前倒しになるためで、高齢者の早朝覚醒は病的なものではありません。睡眠自体も浅くなり、わずかな物音や尿意でもすぐに目が覚めるようになります。
こうした変化から「年をとったら眠れなくなった」と訴える高齢者が増えていますが、若い頃のように長時間ぐっすり眠ることができなくなるのは仕方のないことです。
ただし、眠れない原因が狭心症などの疾患による夜間の発作、前立腺肥大などによる頻尿、リウマチによる痛み、服用している薬の副作用、心理的なストレス、睡眠時無呼吸症候群やパーキンソン病、認知症などの疾患による場合には、医療機関を受診する必要があります。

症状・影響

寝つきが悪い、朝までに何度も目が覚める、ぐっすり眠れないなどの睡眠状態が1カ月以上つづき、起きているときにも倦怠感や頭重、抑うつ、食欲不振などの体調不良がみられる場合には「不眠症」と診断されます。
また睡眠時無呼吸症候群では睡眠時に呼吸が止まることで目が覚める、レストレスレッグス症候群では夜間に下肢がむずがゆくなり眠れない、といった症状が現れます。
夜間に眠った気がしないからと長時間の昼寝をしたり、長く眠ろうと早い時刻から床に入ったりすると、ますます睡眠の質が低下し悪循環に陥ることもあります。

治療

特定の疾患を原因としない不眠症の場合には、睡眠の質を上げるための睡眠指導が行われ、補助的な役割として睡眠薬が処方されます。
眠れないと訴える高齢者は「また眠れなかったらどうしよう」という「不眠恐怖」を感じていることも多く、これが不眠を助長させていることも多いため、適切な睡眠薬の使用は不眠解消の助けになります。現在の睡眠薬には安全性の高いものが多いですが、せん妄、ふらつきや薬への依存など、注意を要することもあるので、主治医や専門医と相談して安全性を確かめながら内服しましょう。

セルフケア

睡眠時間の長さは人それぞれです。少ししか眠れないと感じても、日中に病的な眠気を感じることがなければ気にする必要はありません。
朝の光を十分に浴びて、日中に適度な運動を行い、食事では刺激物の摂取は避けましょう。就寝時刻を決めて無理に眠ろうとしたり、眠るためにアルコールを摂取したりするのは逆効果になります。
「眠くなったら床につく」くらいの気持ちで夜間はリラックスして過ごすようにし、眠ることにこだわりすぎないことが安眠への近道です。

監修

あしかりクリニック院長

芦刈伊世子

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