高齢期のうつ

最終編集日:2022/3/30

精神的な落ち込みが長くつづき、日常生活に支障が出るほどの状態に陥ってしまう「うつ」は若年層にも発症する疾患ですが、高齢者の場合には認知症や閉じこもりにもつながる危険をはらんでいます。
早めに対処し、心身機能の衰えを加速させないようにすることが重要です。

原因

「うつ」とはこころに元気がなくなり、常に気分が沈滞した状態になる気分障害を指します。
高齢期のうつの発症には、加齢による心身機能の低下や、それを受け入れられないという心理、社会的な役割喪失の不安、孤独への恐れが増大することなどが関連していると考えられています。また認知症と間違われる場合や、認知症の前段階としてうつの症状が現れることもあります。

症状・影響

気分が落ち込む、何をしても楽しくない、自責の念にとらわれる、などの心理的症状のほか、著しい体重の減少または増加、不眠または過眠、集中力の欠如、倦怠感、食欲不振などの身体的症状も現れます。
高血圧症や糖尿病などの生活習慣病や、服用している薬剤の影響でうつ症状が現れることもあります。
高齢期のうつは命にかかわるため、早急に対処していく必要があります。

治療

医療機関でうつと診断された場合には薬物療法(薬による治療)が行われます。
同時に精神療法として、カウンセリングや環境面へのアドバイスなどが行われることもあります。

セルフケア

うつ状態に陥る高齢者の多くは、生きがいがない、楽しみがない、将来への不安がある、といった悩みを抱えながら、悪いことはすべて自分のせいだと考えてしまう傾向にあります。そのため家族や周囲の人が「あなたは悪くない」と明確に伝え、心身ともに休息できる環境を整えてあげることが重要です。真の意味で休息できれば、うつは快方へ向かいます。
ただし高齢者の場合は、安静状態が長くつづくと、こころは元気になっても筋力などの身体機能が衰えてしまう恐れがあるので、ある程度回復してきたら無理のない範囲で活動を促すなど、こころとからだのバランスを図りながら対応していくことが大切です。

監修

あしかりクリニック院長

芦刈伊世子

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