閉じこもり
最終編集日:2022/3/30
近年、身体的、心理的、社会・環境要因などの理由で高齢者がほとんど外出しなくなり、社会とのかかわりを絶って自宅に引きこもってしまう「閉じこもり」が問題視されています。
長引く閉じこもりは寝たきりや要介護状態になるなど生活の質を落とす可能性が高いため、周囲の人と連携しながら解決策を考えていく必要があります。
原因
高齢者が閉じこもってしまうことの背景には、大きく分けて3つの要因があるといわれています。
1つめは、けがや病気など、からだの不調が原因で外出しにくくなる身体的要因、2つめは、配偶者を失くした喪失感や、転倒に対する恐怖心などが原因で外出への意欲をなくしてしまう心理的要因、3つめは、近所付き合いがなく外出してもつまらない、坂道が多く歩きにくいなどの社会・環境的要因です。
厚生労働省では、これらの要因にあてはまり、月に1~3回は外出、あるいはほとんど外出しない状態にある高齢者を「閉じこもり」としています。
症状・影響
行動範囲が家のなかにかぎられるため、身体機能や脳の機能が徐々に低下していきます。人と会ったり話したりすることによって受ける刺激もなくなるため、物忘れがひどくなる、何事にも興味をもてなくなる、憂うつな気分がつづく、などの状態にも陥りやすく、社会的に孤立しやすくなります。
これらの状態がつづくと、いつのまにか介護が必要なまでに心身機能が衰えたり、寝たきりになってしまったりすることもあります。
治療
閉じこもりは、医療機関で治療できる種類のものではありません。家族や周囲の人の協力を仰ぎながら、外出への意欲を高めることが何より重要です。各自治体でも高齢者の活動支援と介護予防の観点から、保健師による訪問や通所型サービス、外出支援サービスなどさまざまな地域支援事業に取り組んでいます。
セルフケア
外出への意欲を高めるために効果的なのは、人と触れ合う機会を増やすことです。家族や友人がいる場合には、外出の楽しさを伝えるなどして誘導してあげましょう。なぜ外出したくないのか理由を聞いて、障害となっている事柄について一緒に考えてあげることも大切です。
身近に相談できる人がいない場合には、自治体の窓口に連絡してみましょう。超高齢社会といわれる現代、高齢者支援のためのプログラムは豊富にあります。
これらの制度を活用して、まずは週1回は外出してみるところから始めてみましょう。
監修
あしかりクリニック院長
芦刈伊世子
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