脱水
最終編集日:2022/3/30
高齢者は若年層にくらべて体内の水分の割合が減っている状態にあるため、脱水を起こしやすくなります。脱水は自覚しにくい一方で、命にかかわる危険をはらんでいます。日頃から水分摂取量の管理を行うことが大切です。
原因
水分は、人が生きていくうえでなくてはならない重要な成分です。体内の血液やリンパ液などに含まれる水分を「体液」といい、体液が不足している状態を「脱水」といいます。脱水は汗や尿などの形で排出される水分量と、飲食物から摂取する水分量のバランスが崩れることによって起こります。
高齢になると体内に水分を蓄えておくための筋肉量が減少するため脱水を起こしやすくなります。また体調不良による下痢や嘔吐、熱中症などから脱水を起こすケースが多くみられます。
そのほか、腎機能の低下や降圧剤などの利尿作用からくる多尿、感覚機能の低下によってのどの渇きを感じにくくなることなども、脱水をひき起こす原因になります。
症状・影響
皮膚がかさつく、口内や唇が乾燥している、皮膚をつまんだとき元に戻るのに時間がかかる、尿量の減少などは軽度の脱水を疑う目安となります。脱水が進行すると、めまいやふらつき、頭痛、吐き気、血圧低下などの症状が現れ、重症になると意識がもうろうとして話しかけても反応しなくなり、けいれんを起こすこともあります。
高齢者では感覚機能が低下することで、暑さやのどの渇きなどを感じにくくなっている場合があり、気づいたときには命にかかわる状態に陥っていたということも少なくありません。
治療
脱水の程度が比較的軽く、口からの水分補給が可能である場合には、経口補水液などの投与を行います。口からの投与ができないほど衰弱している場合には、点滴によって水分や電解質を補給します。
セルフケア
毎日の水分摂取量を把握してふだんから飲水管理を行いましょう。飲み物は一度に多量をとろうとせず、コップ1杯分程度の量を、3度の食事以外でも1日に複数回摂取します。部屋の温度と湿度にも気を配り、夏季の高温や冬季の乾燥からからだを守ってください。
感覚機能の低下から暑さや渇きを感じにくくなっている場合があるため、温度計や湿度計を活用しながらエアコンの使用などを判断することも大切です。
監修
あしかりクリニック院長
芦刈伊世子
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