腸炎ちょうえん
最終編集日:2022/3/27
概要
腸粘膜に炎症などが生じる病気の総称です。多くは細菌やウイルス、寄生虫などに感染することによって発症します。
高血圧や動脈硬化症、血栓症などの血行障害を招く病気が原因で起こる虚血性腸炎、腸の粘膜に炎症や出血をくり返す潰瘍性大腸炎やクローン病なども腸炎の一種です。
いずれも腹痛と下痢、嘔吐などの症状のほか、重症になると血便もみられます。緊急を要する場合もあるので早急な受診が必要です。
原因
腸炎の原因には多くのものが知られています。大まかには細菌やウイルスによる感染性腸炎と、薬物やアレルギーなどで起こる非感染性腸炎に分けられます。主な原因は次のとおりです。
・感染症……細菌、ウイルス、寄生虫、真菌(カビ)
・食品・毒物……過食、アルコール、有毒物質を含む食品(有毒魚介類、毒キノコなど)、アレルギーをひき起こす食品
・薬品……抗がん剤、アスピリン、下剤
・重金属類
・抗生物質
・物理的・環境的要因……X線などの放射線、紫外線、寒冷刺激
・血液の流れの障害……ショック、虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)、高血圧症や動脈硬化症、心不全など
症状
一般的によくみられるのは下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状です。腸炎を起こした原因や炎症の重さによっては、血便がみられることもあります。
腸への血流が減少することで起こる虚血性腸炎の場合は、重症化すると腸の組織が壊死してしまうこともあります。その他、下痢や血便の症状が1カ月以上つづくようなときには別の病気が考えられるため、くわしい検査を行う必要があります。
検査・診断
まずは、問診と身体診察で症状の発症したときの状態や血便の有無、腹痛が起こっている位置を確かめます。血液検査では炎症の程度を調べます。
必要に応じて腹部X線検査やCT検査などの画像検査、大腸内視鏡検査、便検査などを行います。
治療
原因や症状によって異なりますが、まずは下痢や嘔吐などの症状に対する治療(対症療法)を行います。
症状が軽ければ自然に軽快していきますが、吐き気止めや整腸剤、下痢止めなどの薬を使用します。
また、細菌感染が原因の場合は、抗菌薬が処方されます。下痢や嘔吐によって脱水症状があるときは、点滴による水分やミネラルの補給を行います。症状が改善しない場合には、対症療法に加えて、検査で腸炎の原因を特定し、その原因を除去することもあります。
このほか、虚血性腸炎の場合は、数日程度で症状が改善されることが多いので、自宅で安静にして、抗菌薬の投与などを行って経過を観察します。ただし、痛みや下血が激しい場合は入院・手術が必要となることがあります。
セルフケア
療養中
腸炎にかかってしまったら、脱水を起こさないように水分補給を心がけるようにしましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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