イレウスいれうす
最終編集日:2023/3/29
概要
腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)の異常によって内容物が通過できず、腸に詰まってしまうことをイレウスといいます。腸の麻痺によって蠕動運動が低下する麻痺性イレウスと、腸のけいれんによって蠕動運動が不規則になるけいれん性イレウスに分けられ、発症すると腹部の張り、吐き気や嘔吐などの症状が徐々に出現します。
なお、イレウスと腸閉塞は同じように扱われることがありますが、現在、腸の内部が物理的に塞がってしまうことで起こる病態は腸閉塞として区別されています。以前はイレウスを機能性イレウスと機械性イレウスに分類し、機能性イレウスには「麻痺性イレウス」と「けいれん性イレウス」がありました。現在は機械性イレウスを腸閉塞として、別に分類しています。
原因
麻痺性イレウスは、腹部の開腹手術後、脊髄損傷や脳梗塞などの神経障害、薬の副作用などが原因として挙げられます。また、虫垂炎、胆のう炎、膵炎などの炎症により腸管の麻痺が生じます。
けいれん性イレウスのおもな原因は腹部の打撲や外傷、中毒などで、腸をコントロールする自律神経の乱れが原因になることもあります。
症状
腸内に食べ物や消化液などの内容物が詰まることで、便として排泄するはずの老廃物やガスがたまって、さまざまな症状が現れます。おもな症状は、腹部の張り、吐き気や嘔吐、便秘、腹痛などです。
検査・診断
問診や視診で病歴や症状、服薬の有無、腹部の状態などを確認します。聴診で腸の蠕動音を調べ、血液検査、X線検査などを行います。超音波(エコー)検査やCT検査などを行う場合もあります。
麻痺性イレウスでは腸音は減弱し、聴診器でも聞こえなくなることもあります。
けいれん性イレウスでは、逆に腸音が亢進することもあります。腹部は膨満し、腸管にガスが貯留するため、打診で鼓音(腸管にガスがたまり、たたくと鼓のような音がすること)を呈します。
また、腹膜炎による腸閉塞では反跳痛(押したときより離したときに痛みが強い現象)が認められます。腹部X線検査では腸管にガスがたまった像が見られます。とくに小腸にガスがたまった像が特徴的といえます。炎症が増悪すると血液検査で白血球が増加し、炎症反応が認められます。
治療
発症の原因や腸の状態にもよりますが、基本的には保存療法を行います。絶食し点滴で栄養を補給して腸がスムーズに動くように改善を図るほか、イレウス管(細いチューブ)を小腸に挿入して腸に詰まっている内容物を吸い出す方法などがあります。保存療法で改善がみられない場合などは開腹手術や腹腔鏡手術が検討されることもあります。
また、虫垂炎、胆のう炎などの病気が原因の場合はその治療を行います。
セルフケア
病後
消化のよい食事にし、少量ずつゆっくり食べる、よくかんで適量を食べるなど、しばらくは腸に負担をかけないように気をつけるとよいでしょう。こまめに水分を補給することも大切です。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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