Question

感染性腸炎で入院。退院後の発熱や下痢は再発?

感染性腸炎で11日入院しました。退院して3週間ほど経つのですが、昨日から発熱と下痢の症状があります。再発でしょうか?

女性/40代

2022/12/09

Answer

感染性腸炎で11日間の入院治療を受け、退院後3週間の経過時に、発熱と下痢の症状が出て、再発かとご心配なのですね。


今回は、感染性胃腸炎(腸炎)の特徴や対応をご説明します。感染性胃腸炎は、ウイルス、細菌などの微生物が、小腸や大腸に感染することにより、消化器に炎症を起こす感染症です。毎年12月~3月ごろに流行がみられます。

細菌性のものでは腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌(O-157など)、サルモネラ、カンピロバクターなど、ウイルス性ではノロウイルス、ロタウイルス、腸管アデノウイルスなどがあります。


おもな症状は、突然の嘔吐、下痢(水様性、粘液便、血性便など)、腹痛、多くのケースで発熱を伴います。脱水症状、電解質喪失症状や、頭痛、高熱、悪寒、疲労感といったかぜの全身症状を伴う場合もあります。

ウイルス性胃腸炎の場合は、嘔吐や発熱は数日以内、下痢は1週間程度で治まることが多く、脱水症に注意すれば経過のよい病気ですが、症状の程度や経過には個人差があります。


原因となるウイルスや細菌はさまざまあり、中でもノロウイルスによる感染症は、以下の理由から感染をくり返すことがあります。

●複数の感染経路

●感染力の強さ

●遺伝子の異なるウイルスが多数存在する

●便や吐瀉物からの大量のウイルスの排出

●不顕性感染 ※ウイルスに感染しても自覚症状のない者がウイルスを便に排出すること

●ウイルスに対する抗体の持続時間が短い


ノロウイルス感染後は長期間、ウイルスが便から排泄され、不顕性感染もあるため、日常的な衛生面の注意は重要です。外出やトイレのあと、調理前の手洗いを徹底し、調理器具は十分に洗浄して定期的に消毒し、加熱が必要な食品は中心部まで加熱調理することを心がけましょう。


現在は感染性胃腸炎の原因であるウイルスに効く薬はなく、症状に合わせた治療が行われます。下痢止め薬は、病気の回復を妨げることがあるので慎重に使用されます。乳幼児や高齢者は脱水症を起こしやすいので、水分や栄養補給を十分に行いますが、脱水症状が強い場合は、医療機関での治療が必要になることもあります。


下痢や嘔吐の症状があるときは、嘔吐後1時間程度の飲食は避け、症状が落ち着いたら水分を一口飲み、5~10分経過して問題なければ二口にするなど、徐々に増やします。症状が強く、食欲がないときは食事を控え、症状が落ち着いて食欲があるときは、消化のよいもの(おかゆ、うどん、スープ、バナナ、リンゴ、ヨーグルトなど)をとりましょう。


吐瀉物の処理は、マスクや使い捨ての手袋などを着用し、汚物はペーパータオルなどで処理します。汚れたパジャマは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒後、洗濯を。乾燥機を使うと殺菌効果が高まります。布団など洗濯がしづらいものは、乾燥後にスチームアイロンや布団乾燥機を使用しましょう。


ご相談者は、発熱や下痢の症状がみられるので、感染性胃腸炎の再発が疑われますが、以前治療してもらった主治医などへ症状を相談されることをおすすめします。


回答者

保健同人フロンティアメディカルチーム

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