巨大結腸症

きょだいけっちょうしょう

最終編集日:2023/10/11

概要

大腸が異常に拡張している状態を指します。蠕動(ぜんどう)運動が十分に行えなくなり、腸管が拡張した部分と収縮したままの部分が生じて、腸閉塞のような状態になります。

先天性と後天性に分けられます。先天性は「ヒルシュプルング病」と呼ばれ、約5000人の出生にあたり1人の発生頻度で、男女比は3~4対1とされています。後天性のものには、原因のわからない「特発性」と、ほかの疾患が原因となるものがあります。

なお、同じように大腸が拡張して腸閉塞のような病態を現す疾患として「慢性偽性腸閉塞症」があります。

原因

ヒルシュプルング病は遺伝子の異常で、腸の蠕動運動にかかわる神経が一部欠損していることが原因と考えられています。

後天性のものは、大腸の平滑筋機能の低下、内分泌・代謝異常(甲状腺機能低下症、糖尿病など)、パーキンソン病などの神経系疾患などが原因疾患として挙げられます。

クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や、腸管感染症が原因でひきおこされる場合もあり「中毒性巨大結腸症」と呼ばれます。また、心因性のものや、向精神薬などによる薬剤性のものもあります。

症状

便秘や腹部膨満感(ガスがたまる)、吐き気・嘔吐などが現れます。腸閉塞時のような激痛を伴うこともあります。

ヒルシュプルング病では、神経が欠損している範囲がさまざまであるため、新生児期に発見されるのは約50%と考えられています。生後48時間経っても胎便がみられない、胆汁性嘔吐(嘔吐物が胆汁のように緑色)が現れます。1歳以降にみつかるケースでは、便秘、腹部膨隆、嘔吐、哺乳・食事量の低下などが現れます。

中毒性巨大結腸症は、発熱、貧血、頻脈、脱水などが現れ、急激に全身状態が悪くなります。腸に穿孔(穴が開く)を起こすと、腹部の疼痛、意識障害も伴います。穿孔を起こすと、死亡率が約50%と高率になります。

検査・診断

問診ののち、X線検査で腸の拡張の状態とガスの貯留などを調べます。さらに造影剤を用いる注腸X線検査、CT検査、MRI検査、大腸内視鏡検査などの画像診断も行います。血液検査では炎症反応や脱水の程度、電解質異常の有無などをみます。確定診断のために、直腸の粘膜を採取して生検を行います。

中毒性巨大結腸症が疑われる場合は、造影剤によって症状が悪化するため、単純X線検査を行います。また、大腸内視鏡検査も禁忌とされています。

治療

●ヒルシュプルング病

基本的に手術で、神経が欠損して蠕動運動が行われていない部分を切除します。腹腔鏡手術が主流になっています。生後半年くらいが手術の目安となっているようです。手術までの待機期間には、経鼻胃管などを用いた腸管内の減圧、抗菌薬投与、緩下剤の投与などが行われます。


●後天性巨大結腸症

原因となる疾患の治療が優先されます。肛門からチューブを挿入して、腸管内の減圧を行うこともあります。


●中毒性巨大結腸症

原因疾患の治療とともに、感染症が原因の場合は抗菌薬投与、炎症性腸疾患が原因の場合はステロイドの投与を行います。改善がみられない場合は、手術が考慮されます。また、穿孔を起こしている場合は、緊急手術を行います。

セルフケア

予防

後天性の巨大結腸症はまれですが、高齢者は、糖尿病の持病がある場合や、脳梗塞の発作・治療後などに、巨大結腸症を発症するケースも珍しくありません。便秘や腹部膨満感など、これまでと異なる症状がみられる、あるいは症状が強くなった場合には、消化器内科を受診することをおすすめします。

また、炎症性腸疾患の持病がある場合に、中毒性巨大結腸症が疑われる症状が現れたら、速やかに受診しましょう。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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