乳糖不耐症
にゅうとうふたいしょう

最終編集日:2025/2/17

概要

牛乳や乳製品に含まれる乳糖は、乳糖分解酵素(ラクターゼ)によってグルコースとガラクトースに分解され、吸収されます。乳糖不耐症ではラクターゼの活性が十分でないために乳糖を消化吸収できず、下痢や腹痛など消化器を中心とした症状が現れます。

乳糖不耐症のなかには先天的なものがあり、新生児期・乳児期に通常の母乳やミルクを飲むことができず、成育に影響を及ぼすことがあります。先天性の乳糖不耐症の発症頻度は明らかになっていませんが、きわめてまれな疾患とされ、厚生労働省が認定する小児慢性特定疾病の対象となっています。乳製品との関連が疑われる症状が見られたら、小児科、内科あるいは消化器内科を受診します。

また、感染性の腸炎の後など一時的に乳糖不耐症になることがありますが、通常は病気とともに回復します。


原因

ラクターゼが欠損している、あるいは活性が低下していることが原因で起こります。

通常、ラクターゼは離乳後、量が減少します。そのため、程度の差はありますが、多くの成人は乳児期にくらべて乳糖不耐の状態になっているとも考えられます。

先天的なものは遺伝子の異常が原因です。


症状

牛乳や乳製品を摂取した後、腹痛、下痢、吐き気・嘔吐腹部膨満感などが現れます。「おなかがぐるぐるする」程度から、下痢や嘔吐が起こるなど、症状には個人差があります。

乳児の場合は、ミルクを飲んだ後に下痢が続き、脱水が起こりやすくなり、体重が増えないことがあります。


検査・診断

症状から乳糖不耐症が疑われたら、1カ月程度、牛乳や乳製品をとらないようにします。その後、牛乳や乳製品をあらためて摂取し、症状が現れた場合に確定診断となります。

「水素呼気試験」という呼気中の水素量を測定する検査や、便の検査、血液検査などが行われるケースもあります。

牛乳アレルギーとの鑑別が重要です。


治療

牛乳や乳製品など、乳糖を含む食品をとらないことが第一です。しかし乳糖制限によって必要な栄養素が不足するおそれがある場合、ラクターゼ製剤(乳糖分解酵素薬)を用いて乳糖の分解・吸収を補助します。

また、カルシウムやビタミンDの不足を補うために、これらの栄養素を内服薬やサプリメントで補うこともあります。

先天的な乳糖不耐症では、無乳糖ミルクに切り替え、離乳期以降も乳糖を摂取しないようにします。根治的な治療法はありませんが、食事療法とラクターゼ製剤の服用で症状が現れないようコントロールすることが可能です。


セルフケア

療養中

牛乳や乳製品はカルシウムなどを豊富に含む食品です。完全に制限するのではなく、次の点に注意をしながら摂取しましょう。

●牛乳の飲み方に注意する

大量の牛乳を一気に飲まない、数回に分けてゆっくり飲むことで摂取が可能になる場合もあります。また、温めたほうが症状が出にくいと言われています。最近は乳糖の含有量を減らした牛乳も販売されています。

●食べられる乳製品を選ぶ

乳糖不耐症の多くの場合で、ヨーグルトや熟成チーズは食べられます。摂取量に注意しながらとりましょう。



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監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居 明