狂犬病

きょうけんびょう

最終編集日:2023/9/20

概要

狂犬病ウイルスに感染して起こります。感染すると中枢神経系が侵されます。

日本では4類感染症に指定されています。戦後は激減し、1957年以降発生していません。しかし、2006年にフィリピンからの帰国者が発症したとの報告があります。発症すると、致死率はほぼ100%といわれる恐ろしい病気です。WHO(世界保健機関)の発表では、全世界で1年に5万~6万人が死亡しているといわれ、感染地域に渡航する際には十分な予防措置が必要です。

原因

狂犬病ウイルスを保有する犬、猫、コウモリ、キツネ、アライグマなど、多くの肉食陸上動物が宿主となり、感染動物にかまれる、引っかかれるなどした傷口からウイルスに感染することが原因です。

症状

発熱や頭痛など非特異的症状のほか、恐水症、けいれん、自律神経障害などの症状を認めます。脳炎型と麻痺型に分類されます。


●脳炎型……発熱、倦怠感、頭痛、食欲不振などから始まり、1~3カ月後に、かまれた部分のかゆみ、違和感、疼痛が現れます。さらに、水を飲もうとすると、のどの筋肉がこわばる「恐水発作」が起こります。進行すると、恐水発作は風などのささいな刺激でも起こるようになり(恐風発作)、多汗、よだれ、不安、興奮、幻覚、けいれん、過呼吸、不整脈などを伴います。

●麻痺型……上半身の麻痺、呼吸困難が起こり、昏睡状態に陥ります。

検査・診断

症状、感染地域への渡航歴、犬などにかまれた事実の有無を確認し、狂犬病が疑われたら、PCR法によるウイルスの遺伝子検出検査、抗原検査などを行います。

治療

現時点では狂犬病ウイルスに対する抗ウイルス薬はありません。発症すると回復はむずかしいため、狂犬病の可能性が少しでもあれば「曝露後予防接種(PEP)」を行います。WHOでは、次のような処置基準を設けています。


●カテゴリー1:危険性なし(処置不要)……動物に触れた、なめられた、餌をあげた。

●カテゴリー2:低い危険性(狂犬病ワクチン接種)……甘がみされた、引っかかれたが出血はなし、傷のある皮膚をなめられた。

●カテゴリー3:高い危険性(狂犬病ワクチン接種+狂犬病免疫ガンマグロブリンの投与、モノクローナル抗体の投与)……かまれて傷ができた、粘膜(目や口など)をなめられた、コウモリにかまれた・引っかかれた。

セルフケア

予防

狂犬病の発生地域は、インド、中国、アジアが多く、そのほかアフリカ、北米、中南米、ヨーロッパなど、世界に広がっています。狂犬病の発生がない国のほうが非常に少ない状況です。感染予防には、次のようなことに留意します。


●むやみに動物に手を出さない。

●万一、かまれたりしたら、傷口を流水と石けんで洗い流し、消毒液をつけて受診する。傷口を口で吸うことはしない(口腔粘膜から感染するリスクがある)。


なお、狂犬病は人畜共通感染症であるため、日本でもペットの犬への年1回の狂犬病予防接種が義務付けられています。

監修

鳥居内科クリニック 院長

鳥居明

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