腸チフス・パラチフスちょうちふす・ぱらちふす
最終編集日:2023/3/30
概要
それぞれサルモネラ菌に属するチフス菌と、パラチフスA菌によって起こる感染症です。感染源は人に限定され、感染者の便や尿に汚染された水や氷、食物を摂取することでうつり、菌はごく少量でも感染をひき起こすことがあります。
潜伏期間は1~3週間程度で、発症すると、高熱や頭痛、倦怠感、発熱時に現れる胸や背中・腹部の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が現れます。
東南アジア、東欧、中南米、アフリカで流行が報告されています。日本では年間、腸チフスが30~60例、パラチフスが20~30例程度みられ、多くは流行地域への渡航者によるものです。
原因
腸チフス・パラチフスは、それぞれチフス菌、パラチフスA菌に感染することが原因となります。感染経路は人から人への感染に限られ、感染者(無症状保菌者を含む)の便や尿で汚染された水や氷、食物を摂取することで起こります。
症状
腸チフスとパラチフスの症状はほぼ同じで、パラチフスのほうが軽症とされています。
通常、1〜3週間程度の潜伏期間を経て、高熱、頭痛、食欲不振、全身倦怠感などが起こります。症状は次の4つの病期に分かれて経過していきます。
●第1病期
体温が段階的に上昇し、39~40℃に達し、腸チフスの3主徴とされる通常時より脈拍が遅くなる比較的徐脈や、ピンクの発疹(バラ疹)、肝脾腫がこの時期に出現します。ただし、3つすべてが起こるわけではありません。
●第2病期
40℃台の高熱が持続する稽留熱(けいりゅうねつ)となり、無気力表情(チフス性顔貌)、さらに下痢または便秘などが生じます。また、この時期に重症化すると、意識障害、難聴などがみられることもあります。
●第3病期
最低体温が37℃以上で、1℃以上の上下をくり返す弛張熱を経て、徐々に熱が下がります。この時期に腸出血や腸穿孔など、重篤な合併症を起こすこともあります。
●第4病期
解熱・回復期を迎えます。
検査・診断
発熱などの症状のほかに、過去2カ月以内の海外渡航歴を確認します。腸チフス・パラチフスと確定診断するためには、細菌検査で菌の検出を行います。血液のほか、便や尿、胆汁などの培養を行います。それでも菌が検出できず、腸チフス・パラチフスが疑われる場合は、骨髄の採取を行い、培養することもあります。
治療
腸チフス・パラチフスには、抗菌薬の薬物療法を行います。これまではニューキノロン系抗菌薬が第一選択薬として使われてきましたが、耐性をもつ菌が現れてきたため、現在は、第3世代セファロスポリンやアジスロマイシンなどが使用されています。
ただ、一部地域では、さらなる耐性菌が確認されるようになっており、抗菌薬投与の開始前に、血液培養採取、検出菌の感受性確認が重要となっています。
セルフケア
予防
流行地域では、十分に加熱調理してあるものを食べ、市販のミネラルウォーターや、一度沸騰させた水を飲みましょう。また、食事の前や排泄後は石けんを使用し、よく手洗いをしましょう。現在、日本では腸チフスに有効なワクチンは承認されていません。ワクチンを接種するには、海外で行うか、海外製のワクチン(国内未承認ワクチン)を輸入・接種している一部医療機関で行うしかありません。流行地域に長期滞在する場合は、渡航前の予防接種が推奨されることがあるので、その場合は医師に相談しましょう。
監修
鳥居内科クリニック 院長
鳥居明
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