心房細動しんぼうさいどう
最終編集日:2022/3/13
概要
心房細動は脈が不規則になる不整脈です。600回/分以上の電気信号を発し、心房が十分に収縮できず異常をきたします。不整脈のなかでは、きわめて患者さんの多い疾患です。
心房がふるえることで心房内の血液がよどみ、血栓ができやすくなります。血栓塊(けっせんかい)が血管内を進むと脳や全身の臓器に詰まることがあり、脳梗塞や急性腹症を起こす危険性もあります。長期間、心拍数が130回/分以上で推移すると心不全を起こしやすくなります。
原因
心房細動は、日常生活における飲酒や喫煙、過労、ストレス、睡眠不足、加齢などが誘因となって発症するといわれています。
また、心臓弁膜症や心筋症、虚血性心疾患、甲状腺機能亢進症(甲状腺中毒症)などの基礎疾患があった場合、心臓に負担がかかるため、心房細動を発症する可能性が高まります。
症状
心房細動の起こり始めは、もやもやしたり、ドキドキしたりという症状があることが多くなります。それが1カ月以上つづくと(慢性的な心房細動になると)、症状はほとんどなくなります。ちょっと動くと心拍数が上がり、動悸や息苦しさなどを感じるようになり、心拍数130回/分以上の状態がつづくと心不全を起こしやすくなります。
検査・診断
診断は、心電図検査で行われます。心房細動が長くつづいているのかどうか、最近起こったのかどうかなどの状態を調べるために、心臓超音波(エコー)検査を行います。
治療
発作性心房細動の場合は、ナトリウムチャネル遮断薬、持続性の心房細動ではカリウムチャネル遮断薬を使います。心拍数を整えるにはβ遮断薬を用い、また、心房細動があると脳梗塞を起こしやすいため、抗凝固薬を使用します。発作性心房細動を停止させるために電気ショックも行います。
最近では発作性心房細動の予防にカテーテルアブレーションを行うことが多く、良好な成績を上げています。何年も持続している心房細動では洞調律維持がむずかしいことがあります。電気的に肺静脈を隔離するカテーテルアブレーションは、心房細動を抑制し、洞調律を維持させる治療です。
セルフケア
予防
睡眠不足、疲労、ストレス、飲酒を避けることが最善策です。
監修
小田原循環器病院 循環器内科 院長
杉薫