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心房細動
しんぼうさいどう

最終編集日:2026/4/17

概要

心房細動は、心臓の上の部屋(心房)が細かくふるえて、脈が不規則になる不整脈です。

年齢とともに増える病気で、高齢の人に比較的よくみられます。有病率は全体では1%前後ですが、80歳以上では約10%にみられることもあります。

心房細動そのものは短期的には怖い病気ではありませんが、心房がふるえることで心房内の血液がよどみ、血栓ができやすくなります。この血栓が脳に飛ぶと、脳梗塞を引き起こす危険があります。また、一部の人では心不全を起こしやすくなる場合もあります。

原因

心房細動ともっとも強く関係するのは加齢と高血圧です。高血圧症がある70歳代以上の人に非常に多くみられます。このほか、日常生活における飲酒や喫煙、過労、ストレス、睡眠不足などが誘因となって発症するといわれています。マラソンの選手などにも多くみられ、過度に激しい運動(フルマラソンなど)は、心臓に過剰な負荷をかけることで心房細動になりやすいといわれています。

また、心臓弁膜症や心筋症、虚血性心疾患、甲状腺機能亢進症などの基礎疾患がある場合、心臓に負担がかかるため、心房細動を発症する可能性が高まります。


症状

心房細動の起こり始めには、もやもやしたり、ドキドキしたりといった胸の違和感や動悸などの症状がみられます。初期には、発作的に数時間、数日という単位で起こります。その後、1週間以上持続するようになり、最終的には、正常な脈に戻ることがない慢性心房細動へと移行します。長期間持続すると症状に慣れてしまうことも多くなります。

まったく症状がなく、健康診断で指摘されて初めてわかる場合や、最近ではスマートウォッチをきっかけに気づく場合もあります。もっとも怖いのは、心房細動であることに気づかずに放置し、脳梗塞が起きてから、その原因が心房細動であったことが判明するケースです。高血圧がある高齢者では、定期的に心電図検査を行い、心房細動がないことを確認することが大切です。

検査・診断

診断は心電図検査で行われます。ただし、発作時の心電図を記録しなければ診断がつかず、発作が起きていない時の心電図では異常がわかりません。このため、ホルター心電図といわれる24時間から数日間、からだに装着して生活しながら発作を記録する心電図検査を行い、発作をとらえるよう努めます。スマートウォッチによる測定は最終診断には用いられませんが、異常に気づくきっかけとして参考になります。

また、弁膜症などの基礎心疾患の有無や、左心房の負担をみるために、心臓超音波検査(心エコー)が行われます。

治療

心房細動の治療では、抗不整脈薬を用いて脈の乱れを整える治療や、心拍数を調整する治療があります。また、心房細動があると脳梗塞を起こしやすくなるため、脳梗塞のリスクがある人には抗凝固薬が使用されます。さらに、持続性心房細動を停止させる目的で電気ショックが行われることもあります。

最近では、発作性心房細動の予防にカテーテルアブレーションが行われることが多く、良好な成績を上げています。ただし、再発を100%防げる治療ではなく、再発する場合もあります。特に数年にわたって持続している心房細動では、正常な脈の維持がむずかしいことがあります。

カテーテルアブレーションの基本は、肺静脈から左心房への異常な電気信号を遮断することです。この分野は技術の進歩がいちじるしく、従来は高周波を用い電子レンジと同様のしくみで熱を加えて絶縁状態をつくる方法が主流でしたが、近年ではパルスフィールドと呼ばれる電気パルスを用いて、心臓の異常な電気の伝達経路のみを選んで遮断する新しい治療が開発されています。この方法は周囲の組織への影響が少なく、より高い安全性が期待されています。

セルフケア

予防

適正体重の維持、運動、アルコール制限、十分な睡眠、血圧・糖尿病・心不全があればその管理を行うことが大切です。

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監修

神奈川県立循環器呼吸器病センター副院長 循環器内科

福井和樹