心房粗動しんぼうそどう
最終編集日:2022/4/11
概要
脈が速くなる不整脈のひとつで、右心房内で不適切な電気回路が形成され、電気興奮が250~400回/分、規則的に現れる状態です。発生した電気興奮がすべて心室に伝わるわけではなく、2~4回に1回が伝わります。通常の拍動が60~100回/分ですから、興奮が2回に1回伝わると多すぎ、4回に1回なら通常値に近いことになります。
ただし心房が過剰なペースであっても、心室が通常値であればそれほど心配はいりません。
原因
原因はとくにないことも多く、心筋症や弁膜症などの心臓病がかかわっていることも指摘されていますが、ほとんどがほかの病気との関係はありません。心房細動から移行することもあり、ナトリウムチャネル遮断作用のある抗不整脈薬で生じることもあります。
症状
心房粗動のおもな症状として、動悸、息切れ、胸の痛みや不快感などがあげられます。まったく自覚症状が現れず、健康診断などで病気が判明するケースもあります。通常より速い脈が長時間つづいて、心室に伝わる電気刺激の数が増えてくると、心筋に負荷がかかるようになり、脳梗塞や心不全をひき起こしやすくなるので注意が必要です。
検査・診断
おもに心電図検査が行われます。
治療
心房粗動の治療は、心房粗動の停止・予防と脳梗塞予防の2つの観点から行われます。心房粗動は自然に停止することは少ないので、電気ショックあるいはカリウムチャネル遮断作用のある抗不整脈薬で停止を試みます。カテーテルアブレーション治療は、心房粗動の原因となっている電気回路を遮断する治療です。血管にカテーテルを挿入し、回路を焼灼することで根治をめざします。
心房細動と同様に心房粗動により血栓が形成される可能性があるので、脳梗塞予防のために血液をサラサラにする抗凝固剤を服用します。
セルフケア
予防
不整脈を自覚することがあれば、早期に医療機関で心電図検査を受けることが大切です。ほかの不整脈と同様に睡眠不足、疲労、ストレス、飲酒を避けましょう。
監修
小田原循環器病院 循環器内科 院長
杉薫
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