洞不全症候群

どうふぜんしょうこうぐん

最終編集日:2023/11/6

概要

脈が遅くなる「徐脈」を現す徐脈性不整脈のひとつです。徐脈は脈拍が1分間に50回未満のものをいいます。

「洞」とは、心臓の右心房にある「洞結節」という部分を指します。洞結節は心臓を収縮させる電気信号を規則的に生み出し、いわば発電所の役割をしています。通常、1分間に60~80回、電気信号を発生させています。洞不全症候群は、洞結節の機能が低下して起こります。

病態によって、①洞性徐脈のみがつづくもの、②洞結節の電気信号が停止(洞停止)するか、洞結節から電気信号が出ても接している右心房に電気興奮が伝わらないもの(洞房ブロック)、③頻拍の停止直後に洞停止または洞房ブロックが生じるもの(徐脈頻脈症候群)に分けられ、高齢者に好発します。

原因

加齢に伴って洞結節やその周辺の心筋が硬くなること(線維化)、動脈硬化などによって心筋への血流が低下すること、洞結節の細胞数の減少などが原因と考えられています。徐脈頻脈症候群は発作性上室性頻拍、発作性心房細動・粗動の停止時に生じます。

症状

本質は洞停止、または洞房ブロックなので、突然生じる引き込まれるようなめまい・失神、著しい動悸直後のめまい・失神が生じます。洞性徐脈の状態がある程度つづくと、倦怠感、疲れやすい、息切れ、足のむくみ(浮腫)などの心不全症状が前面に出ることもあります。一方、徐脈があっても症状がない場合もあります。

検査・診断

問診で徐脈性不整脈が疑われたら、心電図で心拍を調べます。発作性の徐脈の場合は、検査時に捉えられないこともあるため、24時間ホルター心電図あるいはイベントレコーダーで継続して心拍を測定します。これらの心電図でも診断がつかない場合は、植込み型心電計を用いる、あるいは心臓電気生理学的検査を行うこともあります。

多くは心電図測定で確定診断に至りますが、原因を探るために、血液検査や心臓超音波検査(心エコー)、胸部X線検査などを行います。また必要に応じて、運動負荷心電図検査(トレッドミル負荷試験)を行うこともあります。

治療

服用中の薬や甲状腺機能低下症が原因の場合は、服用薬の中止や変更、原疾患の治療を行います。

ほかに原因がなく、軽度の徐脈で症状がない場合は経過観察でよいですが、脳虚血症状のめまい・失神、心不全症状がある場合は「ペースメーカー植込み術」を選択します。発作性頻拍による徐脈頻脈症候群の場合には頻拍に対してカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)が併用されます。


●薬物療法

洞不全症候群の治療の基本はペースメーカー植込みですが、どうしてもペースメーカー植込みの決心がつかない、あるいは拒否される場合は保険診療適用外ですが、シロスタゾール(プレタール錠)を使用します。

徐脈頻脈症候群の場合は頻拍を増悪させることがあるため、薬物療法は行われません。


●ペースメーカー植込み術

鎖骨の下の皮下にペースメーカー本体を植込み、血管を通してリード線を心臓右心房と右心室に留置します。ペースメーカーから微力な電気信号が規則正しく送られることで心拍を調整します。ペースメーカーには数種のタイプがあり、房室結節伝導が良好な場合にAAIペースメーカーモード、通常はDDDペースメーカーモードが選択されます。植込み後は、1年に1~2回程度、経過観察とペースメーカーのチェックを行います。


●カテーテルアブレーション

徐脈頻脈症候群で、発作性上室性頻拍、発作性心房細動・粗動を治療する目的で選択されます。太ももの付け根の動脈からカテーテルを挿入して心臓に到達させ、高周波電流で病巣部の心筋をアブレーション(焼灼)する方法です。焼灼によって頻拍が根治されれば、洞停止または洞房ブロックが生じなくなることもあります。

セルフケア

予防

一般的に洞不全症候群による徐脈は、心停止による突然死につながるような危険な不整脈ではないため、過度の心配はいりません。しかし、失神による転倒での頭部の打撲、あるいは手足の骨折のほか、交通事故などに遭遇することもあります。

健康診断などで徐脈性不整脈を指摘されたら、症状はなくても再検査を受け、現在の心臓の状態を把握しておきましょう。

監修

小田原循環器病院 循環器内科 院長

杉薫

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