脳梗塞

のうこうそく

最終編集日:2022/1/11

概要

脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化などで細くなったり詰まったりして、脳への血流が途絶え、脳の細胞に酸素や栄養が送れなくなったために、その先の脳細胞が死滅することで麻痺や言語障害などが起こる病気です。

脳梗塞は発症原因によって次の3タイプに分けられます。


●ラクナ梗塞

「ラクナ」とは小さな空洞という意味で、脳の細い血管が詰まるタイプの脳梗塞です。小さな梗塞が多く発生し、無症状のケースも多いようです。脳梗塞のなかでもっとも多く、高齢者に比較的多く発症します。症状はゆっくりと進行し、段階的に悪化していきます。


●アテローム血栓性脳梗塞

「アテローム」とは、垢や皮脂が袋状のもののなかに固まったもので、血管内にできることで動脈硬化をきたします。この脳梗塞は、脳内の太い動脈や頸動脈が、アテロームによる血栓や血管壁から剥がれた血栓によって詰まることで起こります。


●心原性脳塞栓症

心臓にできた血栓が脳内の血管まで流れてきて、太い血管を閉塞させる脳梗塞です。それまで問題のなかった血管が突然詰まるため、意識障害などの重篤な症状が急に出現し、死に至ることもあります。

不整脈や心臓弁膜症などの心臓病の患者さんに多く発生する傾向があります。

原因

原因としては、高血圧症糖尿病脂質異常症高尿酸血症メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や、慢性腎障害が挙げられます。

これらの病気は徐々に動脈硬化を進行させ、脳梗塞をひきおこします。

喫煙や多量の飲酒、過度な運動なども動脈硬化の原因になります。

症状

脳梗塞のおもな症状には次のようなものがあります。

・片方の手足や顔半分に麻痺やしびれが起きる。

ろれつが回らない。言葉が出ない。他人の言うことが理解できない。

・立てない、歩けない

・片方の目が見えない。物が2つに見える。視野が半分欠ける。

・経験したことのない激しい頭痛がする(これはくも膜下出血のときに多い)。

さらに進行して症状が重篤になると、意識がなくなり昏睡状態になります。

検査・診断

脳梗塞が疑われるときは、頭部CT検査、MRI検査などの画像検査で、梗塞や出血の有無、脳梗塞のタイプ、症状の程度を確認します。早期の脳梗塞は頭部CT検査では見つからないことが多いため、頭部MRI検査が必要になります。

MRI検査は脳梗塞の診断にはもっとも大事な検査で、早期から脳梗塞をみることができます。脳梗塞の患者さんでは、症状に気づいていなくても複数の梗塞がしばしばみられることがありますが、そのなかでどれが新しい梗塞かを知ることができます。

MRA(磁気共鳴血管造影)検査で脳血管の状態を確認します。動脈硬化が進行して細くなった血管や、くも膜下出血の原因になる動脈瘤の有無なども調べます。脳梗塞の原因を知るために大事な検査であり、今後の治療や予防を行うために必要な情報も得られます。

また、脳血流検査や脳血管造影検査が行われることもあります。

脳の血流がどの部位でどのくらい減少しているかを知るために SPECT検査を行うこともあります。この検査は血流を増やす手術の適応を判断するのにも行われます。

必要に応じて心電図検査、心臓超音波検査などを行うこともあります。

治療

治療には薬による治療と血管内手術、外科的手術があり、血管が閉塞して発症した急性期に、詰まった血栓を溶かしたり、除去する手術が行われます。

頸動脈の狭窄が血流の減少や、血栓が飛ぶ原因となっているときには、血流を増やすために、血管内手術、外科的手術を行うことがあります。

薬による治療では、脳梗塞の原因となる血栓ができるのを防ぐ2種類の薬があり、それらを使用します。多くの場合、脳の血管や頸動脈での血栓に対しては抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールなど)を用い、心臓での血栓に対しては抗凝固薬〔新規経口抗凝固薬(NOAC)、ワルファリン〕が使われます。血栓の性状が異なるためです。


●ラクナ梗塞

抗血小板薬による治療が行われます。使われる抗血小板薬は、アスピリンやクロピドグレルの内服、オザグレルナトリウムの点滴が行われます。


●アテローム血栓性脳梗塞

アテローム血栓性脳梗塞でも抗血小板薬を使った治療が行われます。

ただし、症状の改善が認められない場合は、外科的手術やステントを留置する血管内治療が行われることもあります。


●心原性脳塞栓症

血栓の新たな形成を防ぐために抗凝固薬による治療が行われます。

今までは急性期には点滴薬のヘパリンを、その後は内服薬のワルファリンを使った治療が行われていました。最近は、NOACと呼ばれるダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンの4種類が認可され、治療に使われています。

セルフケア

予防

血栓予防のため、脱水に気をつけましょう。年齢とともに脱水状態になりやすくなり、水分摂取も少なくなる傾向があります。とくに夜間に脱水になりやすく、風呂上がりにも脱水傾向になります。夜起きたときに少量の水分を補ったり、長湯を避けて入浴後の水分補給をしましょう。

禁煙も大切です。たばこに含まれるニコチンは血圧を上昇させ、動脈硬化を進行させるといわれています。

そして高血圧症や糖尿病、脂質異常症などのいわゆる生活習慣病の予防に努めましょう。そのためには食生活では塩分やカロリーのとりすぎ、食べすぎ、飲みすぎなどを避け、バランスのよい食事を心がけます。

また、適度な運動を継続することも大切です。健康のためには、有酸素運動(ウォーキング、水泳など)が効果的です。この際も水分補給を心がけましょう。

監修

昭和大学 医学部脳神経外科 名誉教授

藤本司

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