サイトメガロウイルス感染症
さいとめがろういるすかんせんしょう

最終編集日:2022/1/11

概要

サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus :CMV)の感染により発症します。

日本人の多くは抗体をもっているため、健康であれば感染しても問題はありませんが、妊娠中に初めてサイトメガロウイルスに感染すると胎児感染のリスクが高くなり、胎児に障害が出る可能性があります。感染した胎児の10~30%程度に流産・死産、脳障害、聴力障害などが現れます。出生時に無症状であっても成長するにつれて進行性の難聴などが現れるケースがあります。

原因

サイトメガロウイルスはいたる所に存在するウイルスで、母乳による感染、尿、唾液による感染のほか、産道感染、性行為などでも感染がみられます。特に初めて感染した乳幼児は、長期間にわたって唾液や尿中にウイルスを排泄し続けるため、抗体をもたない育児中の妊婦などは、「幼児から妊婦へ、妊婦から胎児へ」という経路での感染に注意が必要です。

症状

無症状のケースが多く、症状が出ても通常は自然治癒します。

胎児に感染した場合は低出生体重、黄疸、肝機能異常、肺炎、小頭症、脳内石灰化、血小板減少、難聴、網膜症、などの症状が現れることがあります。出生時は無症状であっても、成長するにつれて難聴や運動障害、精神遅滞などが現れることがあります。

サイトメガロウイルス感染症には、治療薬や感染を防ぐためのワクチンがないため、妊婦は感染しないように注意することが大切です。

検査・診断

血液検査によって感染や抗体を確定します。

治療

現時点では、治療薬はありません。

セルフケア

予防

ワクチンや治療薬がないので、妊婦と胎児を守るための予防対策をしっかり行いましょう。

予防策は次の通りです。

・手洗いは、せっけんを使って15~20秒かけて行う

・乾燥に弱いので、ふとん類は太陽の光をあてて、十分に乾燥させる

・すでに子どもがいる場合は、子どもの唾液や尿がついた床やおもちゃなどは石けんやアルコール、漂白剤などを使ってきれいに拭きとる

・妊娠中は、食べ物や飲み物は子どもと別にする

・妊娠中の性行為はコンドームを使うようにする

監修

JR東京総合病院 産婦人科医長

松浦宏美

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